3.受注産業の特色と意識構造(2002/5/15)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 5/15(水) 10:45:16  返信も含め全削除
 製造業は生産してから販売行動となる業態であるが、建設業は販売行為が売買契約という形で先行し、その後生産する請負形態をとっている。両者は生産行為と販売行為が逆の流れになっていることが特色であり、経営管理の面からみてもこの点が製造業経営と建設業経営の違いとなって現われているのである。
  ◎ 受注生産の流れ⇒販売行為⇒生産行為(建設業の請負形態)
  ◎ 商品生産の流れ⇒生産行為⇒販売行為(製造業の形態)
建設業はこの請負行為を「請けて負けるから請負業である」と言い、製造業と比較すると建設業は受注の段階から弱者の立場であると主張する業者が多い。しかし、受注形態であるから弱者であると主張する論拠は間違いであり、勘違いしている。その結果受注さえ確保できれば経営が成り立つという考え方が強すぎるのである。そのため建設業界は受注ばかりに神経を使い過ぎる欠点を抱えている。建設業経営にとっては受注が重要であることは当たりまえであるし言うまでもない。しかし、本格的市場経済において、生産行為の方がもっと重要であることを忘れてはならない。何故なら生産行為(良い物が安く)が優れていることが市場において評価され、次の受注の基礎となり市場経済において勝ち抜けるのであり、これが企業経営継続の原理である。製造業界と比較すると建設業界は生産管理(工事管理)に力点を置く考え方が極めて希薄であり、それが大きな弱点であることを忘れてはならない。早急に建設業の生産管理を製造業レベルまで引き上げなければならない。請負形態の建設業界の弱点を認識し、受注生産であるが故に生産管理が甘くなっていることを肝に銘じるべきである。近年、ゼネコンが本来しなければならない工事管理の一部を専門工事業者に任せている場合も多く、ゼネコン自体が工事管理技術の空洞化現象を起こしている。(阿座上洋吉)

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