4.建設業は原価縮減思想が希薄である(2002/5/22)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 5/22(水) 00:12:58  返信も含め全削除
 建設業界は、他産業に比べて生産管理(工事管理)思想が希薄である。特に原価管理については近代管理と言えるものではない。第一の理由は、工場生産のように同種製品を継続的に生産する形態ではないという理由で、事前に類似の現場の原価を利用し難い主張がある。第二の理由は、実際原価を想定しても自然条件によって施工環境が常に変化するため、計画どおりに施工できない理由を主張する。いづれも原価縮減ができない理由であり反論できない部分もあるが、原価縮減できない理由ばかり研究しないで、新しい発想による原価縮減の研究をすべきである。上記ニ点の言い訳主張については、更に詳しく一連のシリーズの中で記述するが、実行予算の問題点は、実際に発生する原価を想定する段階に思想的に大きなミスがある点である。この思想的ミスを抱えたまま機関決定し、その時点で実行予算は命令書に変身する。更に実行予算は予算消化の思想を強く引きずり、原価縮減の思想が欠落しているため、本格的な原価管理の道具としての機能が弱く原価管理が高度化しない最大の理由である。
 また、建設産業に比較して製造産業は、数倍の緊張感をもって生産管理をしている。何故なら生産開始の時点で売れるかどうか分からない製品を作るため、初期投資の段階や生産計画の段階から大きなリスクが伴うための緊張感があり、莫大な設備投資や生産する製品の在庫投資をしなければならないのである。建設業界が想像する以上に危険な投資が要求されるのである。したがって、常に世界市場を意識し、国内外の見本市等で自社製品の品質や価格等をチェックし、自社製品の競争力の現状を評定をしなければならない。そのため商品生産業界は、生産現場を常に科学的生産管理によって最高の神経を使いながら、品質管理や原価管理によって生産せざるを得ないのである。建設業界の工事管理とは比較にならないほどの高いレベルの管理が要求される理由である。(阿座上洋吉)

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