5.実質的な品質管理技術の蓄積を(2002/5/29)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 5/29(水) 00:31:12  返信も含め全削除
5.実質的な品質管理技術の蓄積を(2002/5/29)阿座上洋吉
 建設業の品質管理について、次の2点からシステム化することが難しいと言われている。第一の理由は、生産が定型的な活動がないことを理由に、前施工データが次回に参考にならないと言いい、そのため品質管理データが蓄積され難く、過去のデータの利用する意思も希薄である。第二の理由は、現場で直接作業を担当する専門工事業の場合はを除けば、品質管理が間接的になることが多く、特にゼネコンの場合は、現場作業を下請の専門業者に外注することや、下請・孫請等で重層化する場合も多く、品質管理をシステム化することが容易でない。しかも下請となる専門業者間の品質保持能力にもバラツキがあり、現場の状況により予定された専門業者が施工寸前に変更する場合もあり、必ずしも予定どおりの管理が進まない業界である。この点でゼネコン業界は、実質的に品質管理システムの構築することが難しい業態である。そのためISOにしても形式的な書類のみで取得する業者が多く、名刺に印刷するだけの形式的ISOをとることが目的となっている業者が多いのである。建設業以外の製造業界には、このようなお粗末なISOを取得している業界は極めて少ないのである。このように建設業界は、原価管理ばかりでなく品質管理の点からみても、他の産業界に比較するとすべての経営管理が不安定でお粗末な業界である。しかし、これからの厳しい市場経済時代には、名刺に印刷するだけのISOでは発注者に簡単に見抜かれてしまうことを留意すべきである。
 しかし、品質管理が難しいと言う理由は逆にビジネスチャンスになることを忘れてはならない。何故なら、大多数の建設業者は上記の理由で実質的な品質管理を放棄し、形式的な品質管理に気を取られているからである。これからのゼネコンは、本格的に専門工事についても専門業者並の品質管理の能力を持つことが重要で、ゼネコンの競争力を増すチャンスである。以前のゼネコンのように元請風ばかり吹かして威張っていてはいけない。実質的に工事管理もせずに形式的な管理ばかりしていると、ゼネコンの工事管理能力が空洞化してしまうのである。この工事管理能力が空洞化してはゼネコンの命取りになりかねない。多少時間が掛かるかも知れないが、世の中ゼネコンと専門業者の上下関係が水平化の方向に動いていることも忘れてはならない。(阿座上洋吉)

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