6.市場経済時代の受注確保の原理(2002/6/5)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/5(水) 23:00:31  返信も含め全削除
 厳しい市場経済の中で一定の売上を確保することは並大抵のことではない。特に近年の建設業界の入札環境は以前と比べものにならない。第一は公共投資が減少期に入ったこと、民間投資も高度成長期のような投資額は望めない。第二は、工事減少期による激しい価格競争である。第三は、建設業界で長く続いた人脈ビジネスの崩壊である。民間談合や官制談合、政治家による交通整理や地域ボスによる交通整理等、入札には人間関係が強く介在していた。近年は人脈による取引が機能しなくなった。更に、公共工事がドライな電子入札制度に移行することである。建設業界からみると厳しい環境への移行となるが、市場の論理からすると正常化への道である。市場経済では「良いものを安く」が大原則であり異論をはさむ余地はない。建設業が厳しい市場環境の中で生き残るための原理は極めて単純明解で「良いものを安く」である。市場経済てはこの原理以外に答えはないのである。近年のような建設投資総量が減少期に入ると、前年実績を確保することは容易ではない。この厳しい時代であっても一定量の受注を確保しなければ企業は存続できない。したがって厳しい市場において受注確保が要求される。原理どおりに「良いものを安く」することであり他に方法はない。競争相手より成果品が良質であり競争相手より安価に施工することである。原理的行動以外に企業が勝ち残る方法は全くない。そのため過去に経験したことがないほどの「本格的利益管理のノウハウ」がなくしては企業の存続はありえない。いよいよ本物のコストコントローラによる新しい利益管理ができる人材が必要で、売上が下がっても利益を倍加するノウハウが必要である。  
 今までの日本の入札制度は、社会主義国の計画経済時代の発注制度そのままであり、政府が計画した工事の積算予算額を実績主義によって企業に資金を配分した。このような状況下では資金配分量の拡大だけに神経を使ったのも当然である。今までは、コストダウンによる利益確保は二の次であった。日本の発注制度と発注思想が社会主義の手法を用いていたのであるから、建設業者もその思想によって経営をせざるを得なかったのである。しかし、本格的市場経済に移行したのであるから、経営思想や経営手法を市場経済型に切り替えるしかないのである。(阿座上洋吉)

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