9.原価計算の目的認識が重要(2002/6/27)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/27(木) 13:46:41  返信も含め全削除

 原価計算の課題は、原価の利用目的や担当者の意図によって、際限なく変化する性質をもっていることである。そのため原価計算を利用する各部の担当者(営業担当・現場担当・。経理担当・上級管理担当・経営者等)は、原価計算の基本的な考え方や問題点を事前に理解しておかなければならない。経理担当者は、経理的目的を満足させるため材料費、労務費、外注費、経費を4分類にして集計する。これは外部に対する報告目的が強く影響したものであり、原価を発生形態によって集計する必要性があるからである。外部の調査や監査等に適切な情報を提供するためであり、不正の有無や適切な処理をチェックするため、領収書チェック型になり支払先別の集計が要求されたのである。会計情報の基本は公正で正確性の高いデータを要求されるからである。公正で正確性が信頼されてこそ株主や銀行、税務署等にその価値が認知されるのである。
 次に、現場サイドからはこの経理的発生形態別の原価計算を見ると、現場の施工状況と原価の発生状況と一致しない欠点をもっている。そこで現場は施工順に発生した原価を集計するため、工種別原価計算(A工事、B工事、C工事別原価の集計)が要求されるのである。実行予算制度の原価計算が工種別になったのもそのためである。このように経理的な費目別集計と施工面からの工種別集計の意図が違うため原価計算の形態が大きく相違するのである。
 しかし、原価管理の視点で見ると工種別原価計算は、官庁の予算会計に見られる予算消化型の意図が強過ぎ、本格的原価管理の道具として思想的・形式的にも課題が多過ぎるのである。この点が実行予算制度の最大の欠陥なのである。そこで原価管理の手法としては、経理的な費目別原価計算でなく、施工面から見た実行予算制度の工種別原価計算でもない第三の原価管理のための原価計算制度が必要となるのである。これが加工費別原価計算の手法である。工事原価は材料費と材料費以外の加工費に分類することができる。材料費とは工事物の本体となるものであり、工事物の本体である材料を加工して工事物を完成するために要した費用を加工費というのである。原価管理はこの加工費を検討することである。(次回は加工費を中心にした原価計算の考え方の研究です。阿座上洋吉)

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