10.加工費別原価計算の狙い(2002/7/3)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 7/4(木) 23:02:54  返信も含め全削除
1.材料費と加工費の特色
 原価計算には加工費別原価計算という手法がある。この原価計算制度は、原価を素材である材料費とそれ以外の加工費に2区分する原価計算の方法である。これを加工費別原価計算という。加工費とは、労務費、外注費、経費を合計したものである。ただし外注費については、材料費を込みで専門業者に外注する場合があるから、材料費の部分を外注費から控除したものを加工費と考えて対応することが必要な場合がある。この原価2区分法の思想を整理することが原価管理に重要な意味を持っている。なぜなら材料費と加工費の性質は水と油ほどの違いがあるからである。原価計算を勉強したひとであればこの点の重要性が理解できると思うが、これから整理するひとは「原価の2区分」の重要性を十分に理解しなければならない。これは建設業界だけの問題ではなく、製造業やサービス業等すべての原価計算に共通する重要な問題である。生産とは、素材(材料)を取得してから加工することによって、その生産物の価値を高めていく行為である。素材は外部から一定水準の価値をもったものを調達したものであって、他者によって価値が創造されたものである。原価管理とは、他者が価値を創造した部分を管理するものではなく、自分が価値を創造する部分(加工)を管理する行為をいうのである。これが原価管理の狙いであり、加工費別原価計算の手法が重要になる理由である。材料は現場に搬入するまでに価値と価格が確定しているものであって、現場の施工努力によって変動するものではないのである。この点が原価2区分法である材料費と加工費の性質が決定的に相違する点である。

2.原価計算と原価管理の違い
 原価計算と原価管理は目的が大きく違うのである。材料費は、消費した現場の主要な原価項目であるから原価計算の対象になるが、材料費は、現場の施工努力で変動する性質のものではないから、原価管理の対象にはならないのである。原価管理は、加工費に重点を置いて管理する方法である。そのため加工費別原価計算が重要となるのである。

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