22.共同企業体の工事管理を検討する
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/2(水) 00:05:29  返信も含め全削除
 共同企業体には甲型の共同施工方式と乙型の分担施工方式があるが、日本の共同企業体の工事は、大部分が甲型の共同施工方式で発注され、僅かに乙型の分担施工方式による発注がある。いづれの共同企業体(JV)であっても、JV施工が必要になる理由は、超大型工事で1企業の経営資源では能力の限界を越えている場合か、大きな危険が伴う工事で危険分散のため、共同企業体で施工する必要がある場合に用いられるものである。しかし共同企業体に発注されている実態は、本格的JV工事を除けば、中小企業に対する工事の配分に用いられることが多く、本来のJV工事の目的からは外れている。特に、甲型の共同施工方式は、工事管理の面で難しい問題があり、そのほとんどが未解決のままである。共同施工とは共同で工事管理をすることであるが、実際には共同の品質管理や共同の工程管理等、共同で施工管理を適切に実行することは難しい状況にある。何故なら企業にはそれぞれ独自の経営管理の手法があり、構成員同志が単純に共同施工することは簡単なものではなく、本格的に共同施工することは事実上不可能に近い、共同企業体がゆとりのある金額で請け負うことが出来た時代は、大雑把な低レベルの工事管理でも利益を上げることが可能であったが、今日のように厳しい建設市場の時代には、共同企業体による工事管理で利益を上げることは無理である。
 ISOによる品質管理にしても各構成員の企業ごとに管理手法が相違するし、簡単にJV用に調整することは無理である。工程管理についても同様で各構成員の企業の管理手法は同一はありえない。その点でJV工事についての工事管理は非効率的となり、単独工事のように利益を上げることは出来ないのである。ペーパーJVが横行する理由にも色々な要因が存在するが、大きな要因のひとつは、1企業で施工すべき工事を無理に甲型のJV工事で発注されたため、ペーパーJVとして工事管理を効率化するための施工業者の知恵かもしれない。また、発注者に隠れて分担施工する場合もあり、苦労して効率化を計っている。これからのJV工事はできるだけ乙型の分担施工方式で発注すべきではなかろうか。分担施工方式の場合はISOや工程管理等自社企業のシステムにより効率よい施工が可能である。

          

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