25.日本の入札制度がゆれている(その3)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/23(水) 08:31:09  返信も含め全削除
1.入札妨害罪が発生する社会的要因
 近年、入札妨害に関連する事件が急激に表面化してきた。民中心の談合やボスによる交通整理、官による割付いわゆる官制談合、政治家による交通整理等の水面下の行為が表面化してきた。日本には従来から入札に関して水面下で暗黙の了解されたルールが続いていた。これは建設業界だけの問題ではなく全ての産業界で行われていた水面下のルールであった。このルールは「必要悪」と言われ、悪を承知の上で「必要悪」として消えることがなかった闇の制度であった。この「必要悪」が消えない要因はどこにあるのであろうか。企業は最大限の利益を得たいと考えるのは当然であり、これは水面下のルールである「必要悪」からくるものではない。必要悪は日本的経営という制度に深く関係している。

2.日本的経営の「和」の文化が「必要悪」に絡んでいる
 日本的経営の特色は、「同じ釜の飯を食った仲間」として「和」の経営文化が中心にあり、人事組織や役職、給与体系等年令型の制度になっている。この制度は人間関係の過当競争を排除した制度で決して悪い制度ではないが、能力主義に対立する制度であり、年令型制度はもともと激しい市場経済に馴染まない制度である。日本は儒教の精神の影響もあり、年令序列の制度に馴染んできた。そのため能力に関係なく人件費が増加するが、企業にゆとりがあった時代は機能したが、近年のような厳しい市場環境では、年令による高額所得者を企業が抱えるゆとりがなくなってきた。年令序列の日本的経営は能力主義に比較して、社内の人間関係が弱競争制度となっている。能力主義は個人主義をベースにし人間関係を強競争にした制度である。欧米先進国は企業内が能力主義の強競争制度であるため、市場が強競争市場であっても経営の継続は可能であるが、日本は社内が集団主義の弱競争制度であるため、市場で企業間の競争制度を欧米並みの強競争市場にすると、共倒れ現象を起こすのである。そこで日本は市場を弱競争市場制度にしなければならなかったのである。水面下の暗黙のルールは弱競争市場制度であり、日本的経営の弱競争体質を水面下のルールで支えてきたのである。しかしこれからは欧米先進国の強競争市場の影響を受けてきたのであるから、市場も企業内も強競争制度に切替えなければならない時代となったのである。

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