47.成熟化社会と景気変動
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 3/26(水) 10:54:39  返信も含め全削除

1.消費者行動と景気変動
 戦後の物不足時代から今日の成熟化社会に至るまで、消費者の価値観や行動に大きな変化があった。終戦直後は戦争の影響もあって生活関連物資が不足した時代であった。そのため国の施策は物の増産体制であった。消費者の物に対する反応は凄まじいものがあった。この時代を量の時代であり大量消費時代であった。そのため日本経済全体の方向が、大量生産、大量販売、大量消費の構造で動いていており、産業界全体が物流のパワーが原動力となっていた。この大量の物流を支援する運送業は大型運送用トラックが必要となり、大型トラックメーカーは生産が追いつかない状況であった。大型トラックが全国を走れ回る時代になると道路の整備が必要であり、大量輸送時代に道路整備が要求され公共投資も物流拡大に大きな貢献をしたのである。日本の経済全体が量の拡大がエネルギーとして強く作用しており、公共投資に連動して経済が動いていたのである。一定量の物が充足された消費者は所得の増加もあって、ワンランクアップの製品を買い求める行動に変わってきた。高級品への買い替えが始まったのである。世は所得倍増論の時代でもあった。このワンランクアップ時代を質の時代といい、戦後の量の時代から質の時代までを物社会という。しかし、近年の成熟か社会の消費者の行動が物社会時代とは大きな違いがでてきた。これは単純な不景気やデフレ現象ではなく、成熟化社会の消費者の行動であって物社会時代の消費者行動とは違いがあるのは当然である。   

2.成熟化社会の景気変動
 物流面の視点で景気変動を整理すると物流が景気変動が連動している。消費者の消費行動が大きく作用しており、消費の増加が小売業、卸業、製造業、原料供給業、一次産業、運送業、通信業、資金提供業等とすべての産業に波及し、結果とし雇用の機会や所得の増加となる。高度成長期の日本産業の構造はこのような状況で動いていたのである。物量拡大時代は連鎖反応が全産業へ波及するが、成熟化社会はサービス化社会に入り、消費者が過度の消費をしなくなり一部の余力をサービスを購入する。教育、旅行、観賞、通信等のサービス購入になってきた。サービスの購入行動は連鎖反応が短絡し、物流拡大時代とは違いサービス購入者との間で終了してしまい、景気変動の波及効果は非常に小さい状態になる。これが成熟化社会の景気動向である。

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