50.日本の中流意識と大衆の反応
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/16(水) 23:42:31  返信も含め全削除

1.成熟化社会の到来と大衆行動
 日本経済は、高度成長時代の終りを告げ低成長時代に入った。この現象には幾つかの原因があるがその一つに成熟化の現象がある。大衆は衣食住が充足されると物に対する関心が薄れ、物以外のものに関心を示すようになる。これは消費者の当然の行動現象であってこれを成熟化社会という。人間は衣食住が満たされると物ばなれが起き、心の豊かさを求めて新しい行動にでるようになる。

2.中流意識の大衆と成熟化社会の大衆行動
 高度経済成長時代の大量消費時代に出現した中流意識が日本の特色であるが、大衆の80%が中流意識を持つような社会は世界でも稀である。バブル崩壊後は大衆の意識も多少の変化が見られるものの、依然として大衆の中流意識は高い水準のまま推移している。このように大多数の中流意識を持つ日本人が一挙に成熟化社会に突入したのであるから、日本の物ばなれ現象は大衆によって一挙に起きてしまったのである。一般的な経済学的視点では物が売れると景気が良く、物が売れないと景気が悪いということになるが、これは景気循環説による論理である。しかし今日のような物が売れない現象は単純な不景気ではなく、日本の大衆が成熟化社会による物の充足状態の消費者であることも認識しなければならない。

3.消費意欲の弱い消費者(物社会の終焉)
 成熟化社会の消費者は物に対する消費意欲が非常に弱く、物意外のものに強く反応する。携帯電話をとってみても  電話を物として購入するのではないから、電話機本体を無料提供まで出現したし、コミュニケーションの道具としてその機能に反応するのである。また食事にしても生命維持の食事から心が豊かさを求める食事の欲求が強まっている。そのため食事場所の雰囲気に多額の料金を払い、異国の食文化に関心を示しその代償に高い料金を支払うようになる。このように食事にしても心の豊かさを求めて、もの(食材)以外の各種のサービス等に代償を支払うようになる。このように成熟化社会は消費者の行動自体が大きく変化する。これをサービス化社会という。

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