58.総合商社的建設業の特性と課題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/11(水) 10:50:10  返信も含め全削除

1.一括下請の禁止と総合商社的建設業
 現行建設業法では、総合商社的建設業を想定して規定したものではない。法律の理念である発注者保護という視点で禁止しているのである。現行建設業法の発注者保護の理念は、商社的活動で受注した物件を他の建設業者に、一括して下請させてはいけないと建設業法第22条に規定している。この建設業法の規定は大変厳しい規定であり、下請企業側にも一括下請として受注することを禁止している。法律の立法趣旨は、単純な一括下請の禁止は受注金額の上米をはねることであり、発注者に価格的損害を与えると考えている。いわゆるピンハネは発注者に単純な価格的損害を与えることになり禁止したのである。このような環境の中で総合商社的建設業者は、実質的に施工していないと判断される。ここで施工とは工事管理を指しているが、総合商社的建設業者が実質的な工事管理までも下請企業へ移譲するため、元請としての工事管理技術の空洞化につながっている。そのためペーパー技術者が続出し自ら技術の空洞化に拍車をかける結果となってしまった。この技術の空洞化がどうなるかが今後の大きな課題となるのであろう。

2.総合商社的建設業者の効用と課題
 前述の一括下請の禁止条項の理念に違反しているにもかかわらず、このような企業が増加の傾向にある。それは社会から要請されている部分もある。総合商社的建設業は、企業の規模も大きく社会的認知度が高く、信用や安心感等が最大の売り物になっている。その意味で総合商社的建設業は社会的に認知されている。しかしここで問題となることは、その実態が施工業者としての建設業ではない点である。ただ取引内容が建設に関して特化した総合的商社として認知された存在である。この点で建設業として認知されているのも社会的な実態であるから、これを建設業として認めるのであれば建設業法を改正すべきであるし、その他の商社にも建設に関する営業活動を認めなければならないことになる。

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