59.総合商社的建設業の強敵
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 6/18(水) 07:00:56  返信も含め全削除

1.総合商社的建設業者の弱み
 総合商社的建設業者の強みについては前述したとおり、社会的に強大な信用力によって業界の頂点に立っているが、建設業という施工面からみれば、現実の施工能力の面で弱点を持っている。長い間、まる投げされた工事を一次下請として実質的に施工管理していた業者が、本来の実質的施工業者としての総合工事業であるから、工事量減少時代になり、総合下請業者が対等の立場で本格的に建設市場に参入時代に入ってきた。今までの元下関係が一挙に崩れ最強の競争相手になる可能性が出てきた。いくら商社的に社会的に信用され認知されていても所詮、商社は商社であって建設業ではないのである。商社は現場施工技術の空洞化が起きてしまい、ペーパー技術者の弱み部分だけを増幅しているに過ぎないのである。

2.専門業者の商社的企業の課題
 専門施工業者の中にも商社的専門業者が存在する。現場の実質的専門施工管理と専門作業を一括し孫請業者に発注しているケースも多い。この商社的専門業者にも現場の実質的施工管理の空洞化が起きている。確かに各種専門の特化した業者の手配には優れているが、施工業者は施工(工事管理)で力量を発揮する能力がなければならない。これらの商社的専門業者も、本格的施工管理技術が弱く商社的業態であることには違いない。これらの商社的専門業者も技術の空洞化とともに将来CMの餌食になる可能性が出てきた。

3.商社化した企業は、建設マネジメント(CM)の餌食
 わが国には本格化したCM企業が存在しないが、CM企業は着実に増加する気配をみせている。CMは発注者サイドに立って発注者の有利になる施工管理を業とするが、そのため施工管理を本格化することが本来のCMの仕事である。現在のCMは、専門施工業者の選考が上手なだけで、本格的工事管理の技術レベルはゼネコン程度で低いため、さほど大手ゼネコンの脅威とはなっていない。しかし将来、発注者サイドに立って本格的施工管理を身に着けたときは、商社的建設業者の弱みである施工管理技術の空洞化の傷口が大きく開いて脅威になることを留意すべきである。

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