69.共同企業体と協同組合の課題研究
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 8/27(水) 20:53:43  返信も含め全削除

1.甲型JVに類似する協同組合
 建設業者が共同して事業を行う場合に協同組合を結成する場合がある。建設業者が集まって共同活動をする協同組合の行為は、甲型JVの共同施工活動に非常に類似している。しかし両者には大きな相違点もある。協同組合には法人格があるのに対しJVには法人格がない。法人格がある協同組合が元請として受注し、組合員の建設業者が下請業者の関係となる。これに対して甲型のJVは共同の事業体ではあるが、共同の事業部分には法人格がある分けではなく、構成員全員が共同事業部分の当事者となる。協同組合は法人格がある独立した建設業となるため、協同組合は通常の建設業としての許可基準を満たさなければならない。そのため協同組合の設立は建設業者を新規に設立したことになる。これに対して共同企業体は、特定工事の共同施工の契約をしたに過ぎない。

2.協同組合による施工の課題
 協同組合を単純に元請として受注の受け皿と考えている建設業者がいる。この受注の受け皿という考え方は大きな間違いである。協同組合が建設業の元請としての実体がない状態で組合員に安易に下請させると、建設業法第22条の一括下請の禁止に抵触し典型的な違反行為となる。組合員の建設業者が各種の専門業者で構成され、組合員の専門業者に通常の下請工事を発注するのであれば問題がないが、協同組合の組合員がゼネコン業者であれば、ゼネコンが集まってゼネコンをつくるのであるから少し無理がある。発注者が中小建設業者に安易に協同組合を作らせ発注することは、形を変えた協同組合による新手の談合制度になる可能性がある。

3.協同組合法の精神
 協同組合法は中小企業支援の精神に基づくもので、共同仕入や共同利用のための福利厚生施設、共同教育機関等、主たる事業の補完部分の共同化による支援思想が基調となっている。これを建設業の主たる事業である受注活動の段階を協同化すると、建設業の最も根幹となる請負契約の部分を共同化することになるため、組合員の主たる事業の競業する協同組合ができてしまう結果となる。合併を前提とした協同化であればよいが、発注者が工事配分の道具として利用してはいけない。

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