74.共同企業体の施工の概念を検討
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/1(水) 11:33:00  返信も含め全削除

1.建設業界の施工と現場作業の概念
 建設業界に施工という概念とこれに類似する現場作業という概念がある。この両者の概念は同意義に用いられる場合があるが、建設業法上は概念が相違するので注意しなければならない。建設業関係者が現場の工事作業を施工というが、建設業法上の施工という概念は、現場での工事作業ではなく現場の工事管理を指しているのである。工事管理とは工程管理、品質管理、安全管理、原価管理の4大管理を現場で実施することを指しているのである。そのためスーパーゼネコンや大手ゼネコンが現場の工事管理の実施者として法律上は建設業となるのである。

2.共同企業体の共同施工の概念
 共同企業体の甲型による共同施工とは、法律上は共同の現場作業を意味するのではなく、共同の工事管理(工程管理、品質管理、安全管理、原価管理)を指しているのである。法律的には共同で工事管理をしていれば共同施工となり、ペーパーJVにはならないのである。共同施工を証明するものとしては、JVの運営委員会の設置やJV協定書等の作成でJVの存在が認識される。事務管理の所在の確認としては、事務管理委託協定書を作成してスポンサー企業へ事務委託の協定書で事務管理の所在が確認される。共同施工の運営記録としては共同工事管理の議事録が作成され、構成員の技術者による工事管理会議等の議事録や交通費等の記録も共同施工の証拠となる。

3.実質的共同施工の問題点
 共同企業体の法律的運営については、上述したが形式的に処理されていれば法律上は問題ないが、実質的にJVを運営することは別の問題である。JVが成功するためには形式的な法律問題ではなく、実質的に共同企業体の施工を成功させるものでなければならない。しかし共同企業体自体が寄せ集めの集合体であり、形式的に満足しても実際の運営を厳しい経営環境の中では失敗する要因があまりに多すぎる。これではJVの運営を緊張感をもった運営できるものではなく現場経営の限界を超えている。できるだけ中止を勧告したい。

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