76.JVにおける労務費処理に欠陥がある
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/16(木) 05:51:55  返信も含め全削除

1.JVの独立会計と労務処理の課題
 JVの結成により会計の中心点が発生する。何故ならJVについての財産は民法の規定により構成員の共有財産となるため、法人格がないにもかかわらず共有財産を管理することが必要になるからである。近年のJV会計の一般化した形態は、構成員からJV会計の部分をスポンサー企業が受託して担当することが多いが、その他のJV会計処理法を用いたとしても、法律的、会計理論的にJV会計は独立して処理しなければならない。JV会計の中心は共有財産の記録と原価の集計である。通常の原価計算と同様に材料費、労務費、外注費、経費の4項目で集計され、JV工事が完成すると決算が行われ工事原価と工事利益が確定する。この工事利益は構成員の出資割合に応じて配分され、同時に出資割合に応じて完成工事高、完成工事原価、完成工事利益の内容が報告される。報告を受けた各構成員は、その細目を自社単独工事に合算して決算に関する報告書が作成される。この表示に関して労働機関の関係者から次のような疑義の指摘がされている。

2.労働関係機関からの指摘
 労働関係機関が、労災関係や雇用保険の労務問題に関連する処理について、実地調査をする場合があり、この調査は建設業者が作成する決算書や各種帳簿等を調査することがある。この調査でJV会計についての処理に疑義があると指摘されている。各構成員が作成する決算書の中の労務費表示と賃金台帳の数値が一致しないとの指摘である。作業員は雇用関係がある所属企業に賃金台帳があり、JV工事を担当した作業についても雇用された企業の賃金台帳に記録される。これは所得税法上の所得把握は雇用企業で源泉徴収義務が発生するためである。しかし独立会計で処理されたJV会計における労務費は、雇用企業から離れてJV会計で原価費目の集計が行われ、工事完成後に出資割合で構成員へ労務費データが再配分される。そのためすべての構成員の企業が賃金台帳と決算書の労務費と一致しない問題が発生する。これはJV会計の宿命かもしれないが、会計全体の帳簿組織の視点からも大きな欠陥であることは間違いない。

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