78.スポンサーメリットと課税関係
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/29(水) 12:49:29  返信も含め全削除

1.スポンサーメリットの実態と問題点
 前項で述べたように共同企業体には、スポンサーのメリットの問題が発生する。業界の商慣習に原因がある場合や経済の競争原理が作用する場合もあり、スポンサーメリットは各種の要因によって発生する。そのスポンサーメリットがどの構成員に帰属するかの論議は別にして、通常はスポンサーに帰属する。納入業者に共同企業体に納入させる材料価額を\1,300で請求させ、共同企業体は工事原価を\1,300で計算する。実際の納入価額はスポンサーの力量による\1,000の契約であるから、差額の\300はスポンサーに還元される。これがスポンサーメリットであり、一般的にはスポンサー企業の雑収入として処理される。これによってスポンサーの収益に\300が加算され課税の対象になる。この結果共同企業体の工事原価が高い\300分だけ工事利益が減少するため、共同企業体の利益\300がスポンサーに移転したことになる。これを課税庁の見地で見るとスポンサー企業で課税されるから問題は生じない。ではどのようなケースを課税庁が問題にしているか。

2.スポンサーメリットの取扱に問題点
 スポンサーメリットを納入業者に蓄積させ、スポンサー企業の単独工事の材料、重機等の納入時に値引きの形をとらせる。当該単独工事の材料\5,000の納入時に蓄積されたスポンサーメリットの\300を控除して\4,700で納入させるのである。この場合も\300の課税の行方が問題になるのである。スポンサーとしては独自の当該工事原価が\300安くなるから、結果としてスポンサー企業にて課税されることになる。課税庁の視点では問題にならない。しかし課税上問題になることは、当該単独工事の工期と共同企業体の工期が一致しない場合に問題が発生する。本来は、共同企業体の工事が完成した時点で共同企業体の工事原価が\300安く計上され、この年度が課税年度となる。これがスポンサーの当該単独工事が翌年度に完成する場合は、翌年度の完成工事原価が\300安くなり、この課税が1年間延期されることは税の回避とみなされ、収益の期間所属計算の違反となる。これを承知で翌事業年度の納入額を意識的に低廉納入させれば完全な脱税行為となるのである。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.