81.共同企業体の事務管理費の処理に難問
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 11/19(水) 14:49:55  返信も含め全削除

1.共同企業体の事務管理依託費の算定について
 共同企業体の事務管理の手法については各種の方法がある。以前、大型の共同企業体については事務管理を完全に共同企業体の構成員から独立させて処理することもあったが、近年はスポンサー企業に委託することが一般化してきた。前にも述べたが共同企業体は人格が違う構成員によって臨時に集団化したものであり、内部牽制制度(組織の中に不正が起きないように関係者が互いに牽制しあうシステムをいう)が出来にくいからである。そのため共同企業体の完全独立型事務管理方式は適切には行われていなかった。そこで共同企業体の事務管理をスポンサー企業に依託する方式が一般化してきた。しかし課題も多く共同企業体の事務管理の範囲や量を査定しその費用を算定することが大変難しいのである。例えば事務職員はスポンサー企業の単独工事の事務と共同企業体の事務を兼務する場合があり、その事務量区分の判定は非常に難しい。これは事務員の人件費ばかりでなく、他の共通する多くの費用についても言えることで、大きな課題を残している。

2.スポンサーの受託事務管理費の処理に難問
 スポンサー企業が共同企業体の事務管理を受託するのであるから、その受託によって発生する事務管理費を共同企業体の会計単位に費用計上すると共に、スポンサー企業では事務受託収入として収益の計上をしなければならない。しかしこの事務受託収入は本来の収入ではない。理論的には共同企業体を担当した事務員の人件費は、スポンサー企業の人件費から減算して、共同企業体の人件費として振り替えるべき費用である。しかし現実はスポンサー企業の人件費の何%を減算すべきか厳格には計算できないし、計算したとしても現実的ではない。その他電話代、水道光熱費、事務用消耗品費、コンピュータの減価償却費、建物の減価償却費、備品の減価償却費等をそれぞれの費用項目から正確に減算することは不可能に近く実務的ではない。更に、全ての証票はスポンサー企業に保存され、構成員双方の決算書についての外部証拠書類と会計記録が一致しないという不備が内包しているのである。

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