88.一括下請総合工事業の力量
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 1/7(水) 11:02:44  返信も含め全削除

1.一括下請企業が実質的ゼネコン
 大手ゼネコンは一括して下請へ発注する場合がある。いわゆる丸投げである。勿論建設業法第22条第1項一括下請禁止に該当するし、第2項によって一括下請受注の禁止にもなり、元請業者および下請業者双方が業法違反となる。しかし実態としては横行しており一括下請となった業者は、元請業者の企業名の入ったヘルメットをかぶり、元請業者名の名刺を作らせ表面的、形式的には違法にならないよう気を使っている。しかし実態は一括下請行為であるから、商社的行為の元請企業から受注した下請企業は、専門工事業者の手配や工事管理のほとんどを担当する。したがってこの場合は実質的総合工事の役割は下請企業が果たすことになり、実質的ゼネコンということになる。日本の大手ゼネコンは前項で記述したようにプロジェクト等企画や信用力が優れ、圧倒的な信用力があることは認めるが、だからと言って施工(工事管理)能力を放棄してよいということにはならない。全ての工事が一括下請という意味ではないが、相当数あることは間違いなく、このことが大手ゼネコンの技術空洞化であり弱みとなっている。

2.一括受注業者の出番
 違法行為であるが、一括受注業者の経験は、実質的ゼネコン行為であり総合工事管理を長年にわたり経験したことで、工事管理技術の実力が蓄積されている。このような本格的な実質的中堅のゼネコン業者が元請として建設市場に参入するケースが出てきたが、それほど多いわけではない。ある社長いわく、大手ゼネコンは我々の営業マンであって、営業部分を大手ゼネコンに外注しているのであって、決して大手ゼネコンの下請ではないと豪語する業者までいる。いつでも元請として建設市場に参入する力があり心配していない。ある意味では実質的リーダーの逆転現象である。これは本格的実力による現象からくるもので市場経済の恐ろしさでもある。このように一括下請業者は着実に力をつけている業者があり、元下関係で必ずしも下請けが弱いとは限らない証拠でもある。

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