91.専門工事業の台頭とその行方
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 1/28(水) 09:36:51  返信も含め全削除

1.建設業界護送船団方式の崩壊
 過去の製造産業界は、組立産業を中心に部品メーカーを傘下に治め一大護送船団方式をとっていた。建設業界が下請企業や建材会社を傘下にした協力会の仕組みに類似しており、この協力会が建設業界における護送船団方式である。近年、協力会という護送船団方式に異変が起きる兆しが出てきた。それは製造業界と同じで市場の激しい競争激化が要因である。製造業は地球規模で品質や価格の競争が始まり、人件費等の高騰もあって生産拠点の移転が始まった。特に組立産業の移転は部品メーカーにとって死活問題であり、組立産業と共に部品メーカーも移転や廃業、転換を余儀なくされた。組立産業自体の生き残り戦略が部品メーカーを巻き込んだのである。ここに組立産業中心の護送船団方式の崩壊の図式がある。同じ現象が建設業界にも起きようとしている。建設市場の競争が激しくなりゼネコン業界が厳しい環境に立たされ、下請いじめが始まり元下関係も協力会という関係が維持できない状況下になってきた。下請業者との従来型の発注価額押付け型から競争入札方式への切り替えが始まる気配である。これは協力会という護送船団方式の崩壊を意味している。

2.専門工事業者生き残り戦略
 ゼネコン業界が協力会という名目の子分会社をコントロールする時代が終わろうとしている。いよいよ元下関係が対等化する時代の到来の兆しがでてきた。製造業界のように部品メーカーは生死をかけた戦いにさらされ、グループを離れ他の組立産業ともビジネス関係を結び、外国の組立産業までもターゲットにせざるを得なかった。このようにして日本経済の牽引車的地位を誇る部品メーカーが出現したのである。大手ゼネコンが開発した特殊な工法を除けば、大部分の施工技術は同質化し、しかも一括下請によるペーパー技能者を出現させ工事管理空洞化の現象は、結果的にゼネコンが自分で自分の首を絞めている。今こそ専門工事業者は、専門の技術を磨き特許等の知的財産を蓄積し、製造業界の特化した部品メーカーのごとく力量発揮する時代が到来したのである。このことはゼネコン受難の時代の到来でありゼネコンは十分に留意しなければならない。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.