93.川中戦争の専門工事業の強み
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/11(水) 23:20:18  返信も含め全削除

1.建設業界の構造変化とリーダー争いが始まるか
 流通業を川に例えるビジネス戦争がある。川上戦争がメーカー同士の戦争であり、川中戦争が中間の卸売業の戦争である。川下戦争は小売業の戦争という意味である。更に三者によるリーダーの争いがある。情報不足の江戸時代は廻船問屋といわれる中間業者が情報を握っており、運送業と卸業を兼務した廻船問屋が流通業界全体のリーダーであった。この時代は川中戦争であるといえる。戦後の物不足時代になると物づくり業者が強くなりメーカーによる川上戦争が始まった。この時代は問屋無用論まで飛び出し中間の卸業は力を失い、メーカー全盛時代が続きメーカーが流通業界のリーダーとなった。現在は川下に位置する小売業が頭角を現してきた。小売業は消費者接近の強みがあり、今は小売業界が流通業界のリーダーとなったのである。この川の流れを建設業界に当てはめれば、川上が元請のゼネコンであり、川中戦争がサブコンの専門工事業の下請業者であり、川下に位置するのが孫請の作業業者である。現在三者のリーダーはゼネンコンである。

2.建設業界の川中リーダーのうごめき
 工事量の総量が減少すると特定ゼネコンの専属下請を嫌い、専門工事業者の協力会離れが起きている。特定ゼネコンの専属では経営が成り立たないのがその理由である。強い専門工事業ほどその傾向が強くなっている。これは単にゼネコン離れでは済まされない。ゼネコンとしては強力な専門工事業が競争相手のゼネコンの施工を担当することであり、専門工事業の力量の差異が元請のゼネコンの強みでもあったから、これでは相対的に競争力を弱める結果となるのである。一方、特定ゼネコンから離脱した専門工事業は、自力で生き残る努力をしノウハウの蓄積をしており、この10年ぐらいの間に力関係の状況は大きく変化してきた。当分の間は逆転することはないがゼネコンはかなり油断している。専門工事業が表舞台に出てくる可能性が強くなりつつある。なぜ、ゼネコンと専門工事業の力が逆転する可能性があるかと言えば、現場の工事管理能力の特化が進んできたため、ゼネコンが技術的に口を出せない状態になり、専門特化した専門工事業が優位に立ってきている。

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