95.ゼネコンは発注者の代行?
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/25(水) 23:53:26  返信も含め全削除

1.建設業界の市場論理と精神状態
 建設業界に市場論理が作用しにくい要因がどこにあるか、第一の理由は、受注品を生産する前に売買行為が先行するため通常の市場論理が働きにくいこと。第二の理由は、野外生産のため生産環境が一定ではないため、生産コストの予定に多くの推測をせざるを得ないこと。第三の理由は、生産期間が長期にわたり完成までに調達原価の変動の影響を受けやすいこと等があり、低廉入札については恐怖心さえもっている。したがって出来るだけ受注金額を高めに設定しようとする意思が常に作用している。工事が完了し実際原価が確定するまでは安心できない精神状態に常におかれている。

2.建設業界は原価計算に自信がない
 建設業界の実際原価の集計が適切に行われていない。それは実行予算の間違った理念が強すぎるためであろう。実行予算が決まれば現場代理人等の責任者に命令書として機能するから、実行予算に振りまわされることが多く、また予算項目もラフであるから流用の連続であり、全体の原価が予算内で終了することに主眼を置くことになる。そのため科学的なデーダや正確な項目で予算データが残されない欠点がある。そのため建設業界は原価計算に自信をもってデータを残す企業が少ない。

3.ゼネコンは発注者の代行業務?
 実行予算を易しくする方法は、工種別に下請け企業に外注してしまうことである。これによって実行予算は確実に予算消化することができ原価が確定するからである。そのためゼネコンは工事管理の大部分までを下請に委譲し身軽な立場を確保しようとする企業が多い。これではゼネコンの本来の強みである工事管理からの逃避であり、工事管理技術の空洞化であり将来の不安が増幅しているのである。工事管理からの逃避の結果、ゼネコンは発注者の予算を受け入れて、発注者の代行として下請に発注業務だけに力を注いでいる結果となり、予算の獲得合戦と下請の手配師だけに明け暮れている結果となってしまっている。建設業は工事管理で力量発揮すべきである。

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