101.時間比例費と下請企業の防御
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/7(水) 20:33:51  返信も含め全削除

1.時間比例費の概念が希薄なゼネコン
 ゼネコンの原価意識に時間比例費の概念が希薄すぎるのである。時間比例費とは時間の経過によって発生する費用のことであるが、労務費や経費については時間によって発生することが比較的容易に理解できるが、外注費に関しては施工金額が契約によって確定するため、元請側にとっては時間比例費として意識することはない。しかし下請企業にとっては大部分が労務費と経費であるから時間比例費なのである。このように元請、下請の立場によって時間比例費の認識は大きく相違する。時間比例費の観念がないゼネコンにとっては納期についての時間意識程度で、施工時間の生産性の向上意識はまことに希薄である。そのため下請企業に無駄な施工時間のしわ寄せが生じ、工程管理のミスロスによる損害がすべて下請に押し付けられる結果となる。

2.下請企業は無意識に防御する
 下請企業の利益が予定通り上がらないのは、時間意識のないゼネコンの技術者に大きな責任がある。そこで下請企業としては損害の防御策として低廉な請負契約を安易に結べない。なぜなら時間管理能力がない技術者の下では、時間比例費の影響で利益を上げる方法がないからである。そのため時間のミスロスまでを費用として組み込んだ経験的な金額を要求する必要がある。下請企業も時間比例費の意識がないため、なぜ利益が上がらないかの理論的根拠が分からない。そのため過去の経験的実際発生原価を意識した金額を要求することになる。この実際に発生した原価にはゼネコンの工程管理のミスロスによって発生した時間比例費が含まれているのである。もし、ゼネコンの担当技術者が自分の不適切な工程管理によって下請企業のコスト高が、自分の責任であると認識し、工程管理のミスロス時間費用の原因分析が少しでもできれば、下請企業ばかりでなく元請にとっても将来大きなコストダウンになる原因を発見することができるのである。下請企業自身の施工行為のミスロスも当然あるが、ゼネコンの工程管理の失敗による時間のミスロスによって発生する時間比例費の影響が予想以上に大きいことを認識すべきである。

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