102.時間比例費の恐ろしい落とし穴
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/14(水) 12:20:23  返信も含め全削除

1.原価計算の恐ろしい落とし穴が待ち伏せする
 原価計算上の恐ろしい落とし穴となるのは時間で発生する時間比例費である。この時間比例費が原価計算上悪魔か怪物のように大きな口をあけて待ち伏せしている。日本では昔から時は金なりと言われて時間を大切にする民族であり、真面目で勤勉な日本人は昔から時間厳守(時刻厳守)という意味では、世界最高の几帳面さで知られている。交通機関や教育機関の時間割等正確な時間管理は見事なものである。しかし、時間に対する価値としては時刻厳守も重要であるが、時間には質の違った時間の量という側面を持っており、時間の量に関係して発生する恐ろしいコストが潜んでいる。原価計算はこの時間の量を問題視するのである。それは時間の量に深く関係する時間比例費があるからで、時間に比例して発生するコストを管理することが原価管理のポイントとなるからである。したがってこの時間比例費はコスト管理という意識で行うよりは、時間だけを管理すればよいという意識で行う方が成功するのである。

2.物の価値からサービス価値への転換
 経済が成長する前の低所得時代は、物自体の価値が高い時代であり、日本も高度成長期以前は物自体の価値を重視していた。原価の構成割合も材料費のウエイトが高く、材料という物が原価管理の中心にあった。過去の日本は先進国の中にあって、あまり人的サービスの価値を認めない民族であった。肉体的サービス(労働)や頭脳サービスの価値を軽視する傾向が強かったが、それは低所得時代の意識の残骸であって、人件費が世界最高にランクされる時代は、時間量を意識し時間縮減管理以外に対応策がないことを認識すべきである。今日の日本では、原価に占める人件費のウエイトが非常に高くなってしまった。そのため人件費の安い海外への工場移転が始まったのである。この人件費縮減の方策には、もうひとつの縮減方法があり時間量の削減で生産性を上げることである。建設業界は生産現場を海外移転できない業種であるから、当然、後者の時間量削減手法しか残されていないのである。

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