103.ゼネコンの原価管理意識に間違いがある
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 4/21(水) 20:48:49  返信も含め全削除

1.原価管理の認識になぜ間違いが生ずるか
 ゼネコンの中でも特に大手ゼネコンは時間によって発生する原価の認識が希薄である。つまり時間比例費に関心がないのである。その理由は工事原価の大部分が材料費と外注費であり、直接雇用の作業員がいないため労務費が発生しないため労務費には関心がない。大手ゼネコンの原価管理が材料費と外注費が中心になるのは当然である。材料費は建材店との価格交渉が対象となるし、外注費については下請企業との工事代金の交渉が原価を左右するためである。そのため建材店と下請企業の契約代金を値切ることがコストダウンとなり、原価管理の力点が価格交渉に集中するのである。そのため建材店と下請企業を金額によって管理することが中心になるため、実行予算による金額管理ですることが正しいと思い込むのである。建設業界の原価管理が近代化しない理由はこの点にある。しかしこんな幼稚な金額管理をする業界は他にないことを留意すべきである。

2.労働価値説による原価認識を
 労働価値説によって原価認識の整理することが必要である。すべての価値の根源は労働の量によって決まるという説である。つまり材料費であっても材料が一定の価値を持つ主要な要因は、材料が完成するまでに要した労働の量に深い関係がある。この労働の量と労務費の額が連動している。また外注費についても下請企業の労働の量で確定するし、すべての原価項目をその発生の根源までさかのぼって確認すれば、労働の量に深く関連している。これらの考え方を労働価値説という。では労務費の構造はどのようなものか。労務費は労働の単価(時間当たりの賃率等)と労働の量(労働時間)を乗じたものである。したがって労務費を管理するには、労働の量を管理し生産性を上げることである。なぜなら労働の単価は労働市場で決まるもので原則的には企業が決めるものではない。したがって、労務費を管理することは労働時間を管理することが重要である。したがって時間管理をすることがすべての原価管理に通ずるのである。<次回の外注費管理で続きを解説する>

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