107.建設業界の課題ダンピング論
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 5/19(水) 10:01:44  返信も含め全削除

1.建設業界のダンピングの定義
 近年、低入札価格の問題が全国で広がっている。いわゆるダンピング問題である。ダンピング問題は以前からあった問題であり、今更取り上げる問題でもないが、近年、取り上げられるダンピング問題の中にはたしかに無謀なものが出現していることも事実である。市場経済における本物の競争原理のルールによるものであればよいが、問題視される最悪のダンピングは、手形決済の資金手当てが目的のものがある。このダンピングは経営破綻の末期症状の段階で発生するもので、経営破綻は時間の問題でありこの行為は論外な行動である。次に位置するダンピングのケースは、近年のような総工事量の減少期に起きるケースで、競争が激化し水面下ルールも機能低下し、従来型の入札価格ではとうてい落札することができない環境下で起きる現象である。このケースは通常の市場実勢価格を下回り、なおかつ自社の実際原価を下回る価格で落札するケースである。このケースは通年雇用の人件費やその他の固定費の一部を回収することが目的で、このダンピング物件を落札しなければ人件費等の固定費がすべて損失として発生してしまうからである。このようなケースは経営戦略的に実践される場合があり、低価格の程度によってはダンピングの概念から外れる場合もある。

2.他産業のダンピング問題を考える
 他産業界では価格破壊等で一時騒がれたダンピング問題は影を潜めてしまった。何故なら建設業界を除く殆んどの業界は、国際化、グローバル化、エリアレス化の影響を受け、地球規模の国際競争が通常の姿になってしまった。その結果、建設業界の環境のように国内だけの旧型の競争環境とは大きく相違し、地球規模の激しい競争原理は、建設業界のような幼稚な対応で済まされなくなってしまった。自社製品の何分の1という原価で良品が作られてくる。この争いが一般化しており誰も助けてくれない状況あるのであり、景気が悪い、政治が悪くて公共工事が削減されてしまったといった建設業界の愚痴とは全く違う環境の中で激しい競争原理が作用しているのである。最良の品質でコストダウンの熾烈な争いをする手法のヒントを建設業界も学ぶべきではなかろうか。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.