112.歩掛思想の潜む落とし穴
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 7/7(水) 09:19:02  返信も含め全削除

1.歩掛計算に潜むダンピングの勘違い
 建設業者は、自社施工工事で実際に発生した原価を正確に集計したものが正しいと認識する。しかしその実際発生原価が如何に正しく集計されたとしても、ミスロスが含んだ原価であれば正しい原価とは言えないのである。原価は工法や施工の効率化等各種の要因で猫の目のように変化する。建設業者は新工法が開発されることによって大幅なコストダウンは理解できるようであるが、施工の効率化についてはあまり関心を示さない。この点を他の業界と比較すれば大きな差がある。他の業界は通常の生産方法(建設業界では工法に相当する)が一定であっても秒単位で効率を上げる努力をしている。つまり生産性向上運動である。然るに建設業界は通常の生産性向上運動に関心が無いのは何故であろう。生産物は二度と同一のものを作らないし、現場ごとに施工環境は相違する。現場では何が起こるか分からないという理由が支配し、標準化や生産性向上の関心を示さない業界である。歩掛計算には何が起こるかわからないという曖昧原価が入りこみ、ミスロスが含まれた計算になるのは当然と考えてしまうのである。

2.歩掛計算には常に曖昧さが付きまとう
 歩掛計算によって積算された予算は、外注する金額の目安になることは理解できるが、原価管理の目安になるものではない。何故なら過去の実際原価は常にミスロスを多額に含んだものが記録されたものであって、目安にはなるが目標となる思想は含んでいない。原価管理とは目標となる思想が深く作用するものでなければならない。目標となる思想とはミスロスを除いたもので、特に軽微なミスロスの連鎖部分を注意すべきである。過去に実施した類似の施工実績のミスロス記録によって、ミスロス回避の手法が可能であり生産性向上に繋がるのである。ミスとは品質向上にも関連しその修復段階がロスとして認識される。適正な作業人員が10人であるところに12人配置されれば、2人はロスとなって発生する。このミスロス現象が施工期間中常に連続して発生するのが現場である。工場生産と違って建設現場の施工は適切な施工行為が難しいが、建設業界が大幅な利益を確保できるかを左右するのはこの点にある。

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