171.原価概念と予算概念のズレに注意
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 8/31(水) 09:34:45  返信も含め全削除

1.原価という概念と予算という概念を混同してはいけない
 実行予算によって原価管理をするという表現は誤解される場合が多い。何故なら原価の概念と予算という資金の概念は違うからである。実行予算制度は、工事現場において予算原価で実際原価を管理するというべきである。しかし現場代理人は、工事資金の管理も負わされるので、原価の管理と資金管理が混同してしまうのである。通常予算管理という場合は、資金の流れを管理するための道具であるから、予算管理手法で原価を管理することは無理であることを注意すべきである。

2.資金の流れと相違する実際原価の発生
 原価とは資金的に裏づけされたものではあるが、原価の発生と資金の流れが一致しないものがある。その典型的な事例に、重機械や車両運搬具のような減価償却費という原価がある。車両運搬具の減価償却費の計算例として、取得価額\1,000,000残存価額\100,000の計算は、耐用年数によって大きく変化する。耐用年数は税法によって法定耐用年数が決められており、実務では法定耐用年数によって計算されるが、実態には利用者の管理や稼動状況によって耐用年数は大きく変動する。定額法による減価償却費の計算は次のとおり。
 <耐用年数2年>(取得価額\1,000,000−残存価額\100,000)÷耐用年数2年=\450,000
 <耐用年数3年>(取得価額\1,000,000−残存価額\100,000)÷耐用年数3年=\300,000
 <耐用年数4年>(取得価額\1,000,000−残存価額\100,000)÷耐用年数4年=\225,000
 <耐用年数5年>(取得価額\1,000,000−残存価額\100,000)÷耐用年数5年=\180,000
 法定年数が4年としても実態は3年で廃棄される場合もあれば、大事に7〜8年も使う企業もある。本質的には使用可能年数で計算すべきである。更に購入代金の資金の流れは一括払いもあれば分割払いもある。このように原価の発生するメカニズムと資金の流れは大きく相違しており、年度期間計算においては原価の発生と資金の流れは一致するものではない。

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