174.税法の影響を受ける実際原価と企業経営
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 9/21(水) 16:27:00  返信も含め全削除

1.法人企業の法定償却法の計算例
 法人企業の法定償却法は定率法であり、帳簿価額に一定率を乗じて当該年度の償却費を計算する。帳簿価額とは、取得価額から過去の償却累計額を差し引いた金額で、各年度の減価償却費は次のように計算する。
<1年度目の償却> 初年度の帳簿価額\1,000,000×償却率0.438=償却費438,000
◎ 1年経過後の帳簿価額・当初の帳簿価額\1,000,000−償却額\438,000=帳簿価額\562,000
<2年度目の償却> 2年目繰越の帳簿価額\562,000×償却率0.438=償却費\246,156
◎ 2年経過後の帳簿価額・2年目の帳簿価額\562,000−償却額\246,156=帳簿価額\315,844
<3度年目の償却> 3年目繰越の帳簿価額\315,844×償却率0.438=償却費\138,339円(円未満切捨て)
◎ 3年経過後の帳簿価額・3年目の帳簿価額\315,844−償却額\138,339=帳簿価額\177,505
<4目年目の償却> 4年目繰越の帳簿価額\177,505×償却率0.438=償却額\77,747円(円未満切捨て)
◎ 4年経過後の帳簿価額・4年目の帳簿価額\177,505−償却額\77,747=帳簿価額\99,758
◎ 4年経過時の調整・4年次の償却費\77,747を\77,505に調整すると残存価額が\100,000となる。
<5年度目の償却> 実務では日本社会の現状によって、残存価額が5%になるまで償却ができる。

2.耐用年数が法定化された立法趣旨と企業経営
 減価償却費の計算には、耐用年数の決定が重要な意味を持っている。もし耐用年数の決定を各企業の裁量に任せれば、各企業は過去の経験から耐用年数を推測することになり、すべての企業の耐用年数は不揃いとなってしまい、各企業の減価償却費の額は大きな相違となって現われる。減価償却費の額が相違すれば利益が変わり、企業ごとの税金負担額が相違する。この点は税法の理念である「税の公平負担の原則」が崩れる結果となるため、税金の計算上は耐用年数の自由裁量は許されない。しかし、企業の経営戦略は税法に左右されるべきものではなく、企業の経営方針にしたがって行われるべきものである。

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