176.減価償却費の戦略的原価配分計算
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/5(水) 09:32:16  返信も含め全削除

1.減価償却費の現場共通費の性格
 減価償却費の大部分は、現場共通費の性格をもっている。例えばダム工事のような大きな現場であれば、年間通して発生する機材の減価償却費は、当該現場の負担となるためその処理は簡単である。しかし、終日多くの現場の仕事を担当している車両運搬具の減価償却費は、各現場について共通に発生する費用であるため、各現場に減価償却費を配分することは容易ではない。原価計算の大きな悩みはこの現場共通費の配分計算である。以上のような減価償却費の配分計算悩みは、減価償却費だけの問題ではなく、運転手の給与やガソリン代やオイル代、修繕費等、車両運搬具に関して発生するすべての費用についての課題である。更に少し拡大して観察すれば、車庫の減価償却費や固定資産税、水道光熱費、車庫の地代等多くの関連費用が存在する。これらの費用項目を費用別に集計する方法もあれば、車両を中心点として集計する方法もある。もし費目項目別に集計すれば、これらの費目を個々に現場共通費として各現場の負担額を計算しなければならない。

2.現場共通費の配分計算の難点
 現場共通費を各現場に正確に配分することは更に難しい。なぜなら、機材の各現場利用状況のデータを正確に収集することが難しいからである。例えば材料の搬送をしているトラックの減価償却費をどのように配分計算すべきか。これには各種の方法があるが、直接材料費法(基準)という手法がある。現場に搬入した材料の金額を基準に案分する方法である。しかし問題は、材料の金額によって現場共通費が発生するものではないからである。更に車両運転時間法(基準)という手法がある。これは現場別の運転時間を基準に按分計算する方法である。これも運搬の距離とか材料の量、材料の重量等によって利用状況が相違するから、運転時間法でも完全とはいえないのである。運転距離基準、材料運搬量基準、材料運搬重量基準等があるが、更にこれらを組み合わせた積数基準もある。いずれにしても減価償却費を各現場に負担させる絶対的な方法はないのである。

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