194.損料計算制度と副次的産物の予定計算
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 2/22(水) 14:04:42  返信も含め全削除

1.損料計算という簡便法が利用された理由
 建設業界には古くから損料計算という簡便法が用いられてきた。現場共通費を車両費計算表や機械費計算表、部門費計算制度による手法は、現場共通費の配分計算として手数が掛かり過ぎる欠点がある。そこで簡便法として工夫されたのが損料計算制度である。この手法は建設機械に用いられることが多く、機械の減価償却費や修繕維持費等の機械に関して発生する直接費を、総稼動日数や総稼動時間で除して1日当たりか1時間当りの損料を計算する方法である。この損料計算は主として建設機械について用いられたのが始まりである。以前の公共工事を受注する建設業者は、該当する工事についての建設機械を所有していることが入札参加の条件であったから、建設機械を所有していない場合は受注ができなかった。そのため多くの建設業者は、建設機械を所有しており、建設機械の現場負担額の計算が当時の課題であった。しかし、今日では建設機械の所有が入札条件ではなくなり、固定費の削減のためにも無所有の方が経営上有利に作用する時代となった。これは金融時代から物融時代に入ったことを意味しており、リース、レンタルが一般化してきたのである。そのため今日では損料計算が建設業者にとって重要な問題ではなくなった。

2.損料計算制度の副次的産物の予定計算
 損料計算制度は、原価計算をリアルタイム化することで工夫されたものである。実際原価を把握する場合、直接現場である材料費、労務費、外注費は、リアルタイムに現場別に把握することは容易であるが、建設機械の減価償却費や修繕維持費をリアルタイムで現場別に把握することは非常に難しい。それは減価償却費が年度末に計算することで、期中の原価発生時に現場別に配分して把握することは困難である。そこで、前年度等の減価償却費や修繕維持費を前年度等の平均稼動日数等で割り、利用年度の損料を予定する方法で運用された。これによって各現場の原価をリアルタイムに把握することが可能になり、これが損料計算制度の副次的産物として予定計算制度が一般化したのである。

返信する

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.