216.ハプニングコストの原価計算
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/7/19(水) 10:45:28  返信も含め全削除

1.あきらめ思想がどのように連鎖するか
 現場担当者と施工計画のことで議論すると、「現場では何が起きるか分からない」という言葉がよく出てくる。これは現場で予定の利益が上がらない理由として、これほど便利な言い訳の言葉はないからであろう。問題は「現場では何が起きるか分からない」という言葉の裏に、何が潜んでいるかである。第一に、計画どおりには行かない理由としての言い訳思想が混入していることである。第二は、「そのため予定どおりの利益が上がらない」と言う理由を誘発している。更に第三は、「だから利益の上がらないのは自分の責任ではない」と責任回避に至るまで、連続的に言い訳論が続いている。このように「現場では何が起きるか分からない」と主張することで、自分の責任を回避する大義名分となっていることである。これではハプニングによって発生するコストを回避することなどできるはずがない。

2.ハプニングコストの原価計算
 ハプニングの中で、死亡事故のような人身事故が一番大きなハプニングであろう。このようなハプニングが発生したことによるハプニングの直接コストは、予想以上に多額になるであろうが、ハプニングの直接コストは一定額を容易に認識することができるものである。しかし、この他に間接的なハプニングコストが多額に発生することを留意しなければならない。ハプニング事件による現場の施工中断中であっても、各種のレンタル料や労務費等の時間比例費があり、施工中断中にもハプニングの間接コストは発生し続けるのである。特に、大型工事の場合は、ハプニングの直接コストよりはるかに間接コストの方が高いものとなる。このようにハプニングコストは、直接コストと間接コストで構成されるが、間接コストの予測は非常に難しいのである。中でも建設業界には、ハプニングの間接コストの概念がないため、間接ハプニングコストの問題が未解決である。今後、ハプニングコストの原価計算についても研究をしなければならない。

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