225.下請管理の高度化と原価管理の課題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 06/9/20(水) 10:26:16  返信も含め全削除

1.原価管理の視点から
 工事原価の構成要素は、材料費、労務費、外注費及び経費であるが、原価要素の原価は単価と数量に分解することができる。材料費は購入単価と消費数量を乗じたものであり、労務費は一日当りの賃金と作業日数を乗じたものである。外注費や経費も同様に一平方メートルの面積単価と総施工面積を乗じたものや、時間当りの単価と作業時間を乗じたものである。この原価を予算として管理する手法が実行予算制度である。ゼネコンがこの実行予算で下請契約を結ぶため、下請の工事金額が確定するが、この制度には下請企業として大きな危険が潜んでいる。下請の施工は現場の事情で予定された利益が上がらない。この点を元請に利益が上がらないと主張しても、下請の原価管理の拙さを指摘されるだけで、工事金額を変更されることはない。確かに下請の原価管理の拙さによるものもあるが、大部分は元請の工程計画の拙さの影響で、作業中断が頻繁に発生する。下請としては工事中断時においても、賃金やレンタル料だけは時の経過で発生するのである。これは元請の工程管理の拙の責任であり、下請にとって解決できるものではない。

2.下請の原価管理の高度化は元請の工程計画の責任
 原価管理の視点で下請管理をみると、元請の工程計画に左右されることは間違いない。元請が下請に発注する施工金額を、市場の外注単価ばかり気をとられ、市場単価から値切ることばかり神経を使っているが、これは大きな間違いである。本当に外注費を安く仕上げたいのであれば、安い単価で契約しても下請企業がその単価で利益を上げる仕組みをつくることが、下請管理の重要なポイントである。外注単価だけを値切り後は知らないと言うのは無責任である。これを繰返しているゼネコンは、長い目でみると損をする結果となっている。何故なら、ずさんな経験値による工程管理を受け続けた下請は、自己防衛のため外注単価は高めに要求するのは当り前である。俗に下請たたきが原価管理であると勘違いしているゼネコンが、最終的には損をする結果となることを認識すべきである。

返信 ご意見やご質問をどうぞ

パスワード

一覧へ戻る】 ※最新の画面を表示するには再読み込みしてください.