255.日本人の価値形成と労働価値観の課題
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/5/2(水) 20:34:32  返信も含め全削除

1.日本人の生産物の価値形成と原価の構造
 日本の高度経済成長期までの生産物の原価の構成比率は、圧倒的に材料費のウエイトが高い原価の構造であった。何故なら当時の日本は、物不足の時代であり、有形の物が価値があり価格が高かった時代であった。これに対して無形の人件費等は非常に低かった時代があった。更に江戸時代までさかのぼると、人件費は極端に低く丁稚奉公の時代には、給金らしきものがもらえない時代すらあり、ただ同然に使われていた。丁稚奉公時代の労働価値観は、一人前になるまでの修行の期間であって、給金をもらうという意識より、職場で職業訓練を受けているという意識が強かったのである。そのため経営者も人件費が発生するという意識が少なく、原価の中の人件費は微量であった。我々日本人の労働価値観の中には依然として過去の労働価値観がこびり付いているが、このような労働価値観が今日通用するはずがない。能力主義時代に通用する現代労働価値観の概念と生産時間の関係を深く理解することが必要な時代となった。

2.古い原価思想による原価管理を引きずっている
 日本人の物に対する価値観は、昔のような「もったいない」と表現される価値観は薄れてきた。しかし、物を作る段階では価値の高いものを安く作るという行為は現に存在する。したがって物を作る時の管理は依然として重要であることは間違いない。その物の価値観と労働の価値観を簡単に比較することはできないが、市場経済の仕組みでドライに表現すれば、全てのビジネス行為を交換価値に換算して検討することが重要である。今日の世界の労働価値は、労働の質と能力に生産時間を乗じた積数で決まっているのである。つまり世界の市場経済の競争は、労働の質と能力に生産時間を乗じた積数の争いになっているのである。今日の市場経済は地球規模で全ての国が連動して動いており、日本だけの労働価値観で動いている訳ではないのである。世界の市場経済に通用する労働価値観でなければならない。商品生産をしている地球規模のビジネスを展開している産業では常識の話であるが、建設業界だけが生産時間の観念が欠如している。

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