273.企業の幹部が経営を危うくする
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/9/19(水) 08:06:12  返信も含め全削除

<アンケートの意見より>
 専門技術者養成講座のアンケート(アンケートの内容見本は、ホームページ・研究の広場<263>平成19年7月11日に掲載)に「近代工程管理の手法は、会社の上司が分からないと思う」という担当技術者の意見があったが、この意見は江戸時代から延々と続いてきた原価に対する思いが強過ぎて、上司が理解できないことを現している。そのため急には変えられないという意味であり、近代工事管理への移行の難しさを示している。

1.ドンブリ勘定の実行予算方式では生き残れない
 工事管理の目的は、良い品質の建造物を安く提供するための管理である。しかし、近年の建設市場の激しい競争の状況下で低価格入札が増えており、予定通りの利益を上げることができないという意見が多くなった。これでは予定利益を確保するどころか、予定の品質も確保できないと嘆く声が聞こえてくる。このような厳しい経営環境の中で、今までのような過去型の工事管理手法では、経営が成り立たないのは当然である。つまり大雑把なドンブリ勘定の実行予算による工事管理方式では生き残ることはできない時代に入ったのである。実行予算書を高度化するという問題ではなく、実行予算方式自体が機能しないことに早く気がつかなければならないのである。

2.幹部が過去型の予算管理思想から抜けられない
 江戸時代から続いた工事管理の思想に問題があるのである。当時は宮大工のような修行を前提とした仕事観が支配していた。自分の技術を磨き、腕を上げることが重要な時代であったから、今日のような採算を念頭においた仕事観とは大きな違いがあった。一人前の職人として認められるためには、長い間の丁稚奉公から始まり、安い賃金で働くことが当たり前であった。そのため古い工事管理手法の実行予算でも機能したのである。しかし高度経済成長後の日本人の賃金は、世界最高水準になったのであるから、江戸時代と同じ思想による管理手法が通用するわけがない。このようなことに幹部は何故気がつかないのであろうか。近代工事管理を早く取り入れて欲しいものである。

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