275.カビがはびこる古い企業文化
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/10/3(水) 10:06:15  返信も含め全削除

<アンケートの意見>
「新しい経営管理の仕組みを導入する場合、個人ではなく会社全体での取り組みが必要である」
今年5月に道内14ヵ所で実施した専門技術者養成講座のアンケートに上記の意見があった。(アンケート用紙の内容は、ホームページ・研究の広場<263>平成19年7月11日に掲載)

1.新しいシステムを導入する場合の課題
 新しいシステムの導入は企業全体の改革に及ぶものであるから、会社全体での取り組みが必要であるという意見は当然である。しかし建設業界の建設現場の経営管理の特色は、現場ごとに独立し現場責任者に全てを任せる企業文化が定着しており、企業全体に共通する知的財産としての経営管理技術を蓄積するという企業文化はないのである。

2.建設業界の経営管理にカビが生えている
 現場ごとに現場代理人という最高責任者によって、厳格な経営管理が実施され、最終責任まで負う仕組みであるから、責任体制としては大変優れている制度である。そのため一見すればこれを越える現場の経営管理の手法がないように見える。この仕組みは現場の予算額が提示され、現場代理人がその予算で請負うという社内請負制度である。この実行予算の手法は、長年にわたって行われてきた技術であるが、その手法は計画予算に対する実際発生額を減算する方法であり、建設業界にはこの予算減算思想が、経営者から幹部、現場代理人までカビのように貼りついている。残念ながらこのカビを剥がさない限り新しい経営管理の思想が入り込む余地がないのである。

3.悲しい社内現状の嘆き
 江戸時代から続いた現場の経営管理の思想を変えることは難しい。残念ながらカビが蔓延している状態では新しい管理思想が入る余地がない。しかし新しい経営管理の導入が必要と感じた人には、精神的にいらいらが増殖している。何故なら新しい経営管理技術の威力を認識したひとは、導入することは当たり前の話であるからである。しかし企業の現状はその理解者が少ないため、現実にはカビがはびこった状態で、依然として実行予算制度が最高の道具と感じている。この状況からすれば新しい経営管理の道具に切り替えるには、アンケートに示されたように「新しい経営管理のシステムを導入する場合、個人ではなく会社全体での取り組みが必要である」という意見になるのである。

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