276.本社集中管理と分散管理
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/10/10(水) 12:20:40  返信も含め全削除

<アンケートの意見>「会社が現場に何でも押し付けてくる。会社は新しい工事管理に切り替える意思はない」という意見が、今年5月に道内14ヵ所で実施した専門技術者養成講座のアンケートにあった。(アンケート用紙の内容は、ホームページ・研究の広場<263>平成19年7月11日に掲載)

1.請負制度の思想が経営思想に影響
 江戸時代から続いてきた請負制度は、元下関係における請負制度に止まらず、企業内における本社と現場の間にも入り込んで社内請負制度として引き継がれてきた。江戸時代には、暖簾(のれん)分けという慣行があった。丁稚奉公から始まり一人前になって経営者として独立する暖簾分けとは、頭領として一人前になった技術者を経営者として独立させる仕組みであり、社内請負制度は、独立する経営者としてのトレーニングの制度であった。今日では暖簾分けの習慣はなくなり、経営者として独立することを前提とする雇用関係もなくなった。代わって一定の予算による現場代理人に任せる方式に変わってきた。これが実行予算による社内請負制度の思想である。アンケートの意見に、「会社が現場に何でも押し付けてくる」という意見は、社内請負制度の思想で現場の管理が行われている証明である。

2.本社集中管理制度
 長く続いてきた社内請負制度に対して、近年は本社集中管理方式が台頭してきた。これはコンピュータの導入と深く関係しており、現場の工事データの電子化が進み、社内外も含め情報共有化が進んできた。会社が現場に何でも押し付けてくるという意見は、現場の権限と責任の範囲をできるだけ拡大し、全てを現場の責任者に一任すると言う方式であり、これを分散管理方式と言う。これに対して本社集中管理方式は、本社の支援システムと現場の工事管理が有機的に結びつくことによって、施工の効率化するシステムであり、近年の情報機器の進化もあって益々高度化が進み始めてきた。この情報共有化を基本としたシステムは、単なる情報機器を使いこなすと意味だけではなく、本社集中管理制度が重要なことは、本社の経営管理と現場施工管理が有機的に結びついていることや、更に外部の関連企業とも総合的に連携するシステムであり、このシステムが知的財産として企業に蓄積される点である。

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