281.工程管理の利用範囲の拡大
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 07/11/21(水) 17:36:22  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 現場技術者に対する研修会で、「新しい工事管理の思想と手法」に参加した技術者のアンケートに「工程管理はあくまで工程表としての認識しかない。」という意見があった。この意見は近代工事管理の視点で見れば重要な意味を持っている。

1.工程管理の目的とその意義
 工事管理は、工程管理と品質管理、安全管理、原価管理の4大管理を指すのであるが、その中で工程管理は発注者が最も重視する納期管理に関するものである。建設物の納期が遅れることは、発注者のビジネスに大きな打撃を与えるものであるため当然である。したがって、通常は契約書に引き渡し期限が明確に決められ、納期が遅れた場合は罰金が科せられる契約は通常の形態である。したがって、一般的な概念として工程管理は、納期管理が目的として利用されている。しかし、「新しい工事管理の思想と手法」の研修では、納期管理の道具としては60%程度のウエイトにし、残りの40%のを原価管理に利用すべきであるとの提案をしたのである。この点が近代工事管理の中心となってきたからである。

2.原価管理は実行予算から工程管理へ鞍替えすべき
 現場の技術者は、工程管理と言えば納期管理が頭に浮かぶであろうが、近代原価管理の思想は、生産時間の管理によって原価を管理する思想に変わり、予算管理手法では原価の管理が十分ではないことが実証されている。建設現場の原価を予算管理手法では無理であり、材料費以外の原価は、全て生産時間に比例して変動するものである。そのため過去の実績工程表に記録された実績生産時間が重要な道具となる。目標とする実行予算の設定から、目標とする実行時間の設定に変え、無理なく施工できる施工時間計画が必要となる。時間計画は工程表に表示されるから、この工程表による各種の作業計画によって、コストが最小となるように設定する。簡単な事例で紹介すれば、A作業を1人で10日の施工と作業員2人で5日の施工では、1人1日10,000円とすれば、実行予算の労務費は100,000円と同じになる。しかし、仮設材のレンタル料が1日30,000円とすれば、10日間では300,000円であり、5日間では150,000円の半額となる。このように原価は、予算以外の要因で変動するものであり、その要因を究明することが近代工事管理の目指すところである。

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