291.支障物件の課題と原価計算
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/2/6(水) 20:12:30  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 現場技術者に対する研修会で、「新しい工事管理の思想と手法」に参加した技術者のアンケートに「現場が効率よく施工できるためには、役所(公共工事の発注者)も業者のことを考えてくれなければ無理だと思う。」という意見があった。この意見は、各種の問題を含んでいるが、その一つに支障物件の問題がある。発注者は、支障案件である電柱移設のような工事であれば、電力会社やNTT、上下水道であれば市町村、信号機は警察と事前に調整し解決しておかなければならない。これは発注者の責任であり、建設業者化すれば施工の支障となることは当然である。

1.支障物件の課題
 支障物件に対する施工業者の意見は最もで、以前から言われ続けてきたことであるが、実際には中々解決しない。その理由の一つに早期発注問題がある。予算が決まれば次に建設業者からは、早期発注の要望が強く、発注者としても施工業者の事情も考慮して、支障物件の調整が未了であっても、短期に調整が済みそうな案件については発注することを考える。これが後に支障物件として具現する場合がある。発注者も悪気があるどころか施工業者の経営を考えての行動である。しかし早期発注した結果として問題化してしまう。しかし支障物件は、原価計算の視点で見れば深刻な事態が発生する。

2.なぜ、支障物件が恐ろしいか
 原価計算の視点で原価の発生を観察すれば、重機や仮設材のレンタル料は、工事が中断してもレンタル料は通常は時間で発生するものであるから、現場で施工中断が起きても原価は発生し続けるものである。この場合、業者によっては現場で重機が休止状態であるから、レンタル業者にはレンタル料を支払わないと脅迫的な行動する業者がいる。多少の言い分は認めるが、これは大変遺憾なことである。何故ならレンタル業者の立場に立てば、この機材が手元にあれば他社にレンタルすることができるのであるから、レンタル会社としては、大きな機会損失を受ける結果となるのである。これは一見、建設業者とレンタル業者の攻防のように見えるが、国家的見地で見れば国家的損害である。元を正せば単なる支障物件に起因しているが、結果として日本の経済活動に支障を与えることを認識する必要がある。

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