294.工程管理と下請管理の拙さ
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/2/27(水) 22:07:48  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 技術者研修会のアンケートに「工程管理は、コストダウンのためのものですか。工程管理は、工程計画に対して工事の進捗を比較することに使用していた。工事が始まった後に管理しても原価が下がらないでしょうから、実際のネットワーク工程表はあまり実用的でない。」という意見があった。この意見は現場の技術者の意見として当然な意見であが、視点を変えてみれば課題が沢山存在する。

1.工程管理の目的について
 工程管理は、コストダウンのためではなく、工程計画に対して実際の施工状況の進捗度を確認し、計画に遅れが出ないように誘導し、予定の納期に間に合うように管理する技術であるから、工程管理は原価管理の道具ではなく納期管理の道具である。しかし工程管理を新しい視点で利用する方法があり、コストダウンに有効に作用するように利用することができることを見逃してはならない。  

2.工事が始まった後の管理
 工事が始まって後に管理しても原価は下がらないという意見は、多くの問題がある。何故なら原価は常に大きく変化しながら発生するものであり、利益が上がるように誘導する技術が必要である。しかし、ゼネコンは、工事が下請契約で外注金額が確定するため、その後の原価管理は機能しないという意見であろう。この意見も多くの課題が存在しており、更に深く検討する余地がある。

3.下請に押し付けられる不良管理の損害
 元請の技術者による下請作業の工程管理の不具合で、下請の原価が大きく左右する。元請の工程管理の優劣が、下請の死活問題まで影響する認識を持っているだろうか。元請の技術者にはその認識が極めて薄い。何故なら下請契約で外注費の金額が確定しているため、下請の損益の状況には関心がないのも当然である。仮に下請が赤字であると元請に訴えても、下請の管理が悪いと主張するだけである。実態としては、そのほとんどが元請の工程管理の拙さに起因しているのである。良質な工程管理で下請の利益を上げる管理ができれば、外注費自体が大幅に下がる余地があることを認識すべきである。

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