311.実務家研修と教材について
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/7/2(水) 19:53:07  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 専門技術者養成講座のアンケートに「実務上では作業のロス等があり、教材には不確定要素が何も組み込まれていない机上の計算なので、現実向きではないと思う。」いう意見があった。教材の内容が実務的でなく不適当であるという指摘であるが、これは教材作成上の重要な課題であり、教材作成者の責任は重大であり、今後の教材の作成には十分に注意しなければならない。教材作成上どのような検討が必要であるか。研修参加者の意見をいただきたい。

1.教材の不具合の指摘
 学校等の教育機関での教材であれば、学生は実務の経験がないため教科書的な内容で通用するが、現場で活躍する実務家教育の教材は実務的にすべきである。受講者の中には研修を担当する者以上に、実務の知識が豊富で実務経験ある人が多数参加しているのであるから、教材が実務的でない部分は気になることは当然のことである。そのため、アンケートで指摘されたように、現実向きではないと注意される。これも当然な指摘である。

2.教材作成上の限界と教育の狙い
 実務家教育の教材を作成上する上での難点は、教材を詳細な事例で実例に近づけようとすれば、かえって教材の不具合が指摘され場合がある。それは詳細な部分が実際に合わないとの指摘である。例題を土木工事で作成すれば、建築工事業の受講生は違うと指摘するし、総合工事業で教材を作成すれば専門工事業者は違うと指摘される。いづれも当然の指摘である。つまり28業種もある全工事業に共通する教材の作成は無理なのである。これも当然であって教材作成上の宿命である。この点から教材は、全工事業に共通する事例を抽象化し、更に標準化して作成するのである。この抽象化標準化した教材を使って、実務家が見落としがちな課題を想定し、改善策になるようなヒントを提供することが教材の狙いである。研修に参加された多くの実務家の中には、抽象化、標準化した教材によるトレーニングの中でヒントになったという意見も多かった。しかし教材の未熟さは指摘されたとおりである。このような研修での成果の判定は難しいが、現場の工事管理の改革として一つでもヒントがあれば成功なのかも知れない。

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