316.代金回収速度と原価管理
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/8/6(水) 21:01:11  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 専門技術者養成講座のアンケートに「工期の短縮は原価の圧縮に直結することは分かるが、あまり工事が速く終了しても、設計工期終了時まで検定されないので、現金化できないのでジレンマがある。」いう意見があった。このような意見は過去にも多数あった。たしかに発注者にも計画があるし、設計工期に合わせて工事が完了してくれた方が、計画通りに検定を済ませたいのは発注者の意向であろう。しかし、代金回収の問題と原価管理の問題は別問題であり、代金回収が遅れるのであるからコスト縮減をしても仕方がないという意見は間違っている。

1.発注者にも協力を
 近年の建設市場は、入札の段階で激しい競争になったし、落札金額も低くなる傾向が強くなった。その中で代金の回収が遅れることは、経営が苦しい状況に置かれる。施工業者から見れば安い価額で落札し、努力で早めに完成した工事は、できるだけ早く検定を受け、代金の回収も早めたいものである。工期を早める施工は、工事原価が早期に発生するため、当然支払期限も早期に請求される結果となる。したがって、工事代金の回収が遅れると、その間の金利計算をすれば支払利息の負担増となる。民間工事で引渡しのタイミングが重要な場合もあるが、工事減少期における公共工事の場合は、工事が早期に完成したのであれば、早めに支払もすべきである。しかし発注者に対して個々の企業が要求することは難しいであろう。そこで建設業協会等の団体を通じて発注者に要望すべきである。請負契約は対等な立場の双務契約であるから、片方が不利で一方が有利になることは許されないことである。請(受)けて負けるから請負業者だ、と言うことがよく言われてきたが、そのような意見は過去のものである。現代は正当な立場を主張しなければならない時代になったのである。

2.原価管理の技術とその目的
 上記のような工事代金回収の問題と、原価管理の問題は別問題であり、両者の目的が全く違う問題である。原価管理はコスト縮減の技術であり、原価管理の技術を使って、究極のコストダウンまで追求すべきものである。したがって工事代金の回収が遅れたとしても、コストを下げる努力を怠ってはならないのである。

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