324.コスト縮減の全社的意思統一の必要性(その2)
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/10/8(水) 12:09:27  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 専門技術者養成講座のアンケートに「現場の管理者はもとより,すべての職員がコストダウンを目指して努力しなければ,達成することは難しい。」という意見に対して,前回の(その1)では技術者と事務系職員の連携の悪さを検討したが,今回の(その2)では,経営管理技術上の視点で全社的な意思統一の重要性を検討する。

1.金額情報の課題
 前にも述べたように実行予算のような金額情報は,単価に関する情報と数量に関する情報を乗じて算出したものが金額情報である。単価は市場の価格変動のような企業の外部に関する情報が多い。これに対して数量情報は,企業内部の事情によって変化する情報が多いのである。したがって,単価と数量乗じた金額情報は,企業の内外の情報が混在化してしまう結果となるのである。単価情報は材料の購入単価や作業員の一日当りの賃金,レンタル機材の1日当りのレンタル料等は,そのほとんどが市場の状況によって変化するものであり,その発信源が企業の外部から入手されるものである。したがって,外部の単価情報と内部の数量情報を乗じた金額情報は,科学的データとして用いることは難しいのである。

2.全社的な意思統一と連携の重要性
 経営管理上の金額による管理は,重要な道具であることは間違いないが,前述のように単価情報と数量情報の発信源が違うため,その情報の内容や性質が大きく相違する。特にコスト管理を科学的に解明するには,単価情報と数量情報を明解に理解していなければならない。単価情報は経理的な事務系職員か材料購入センターの購入係が担当すべき情報である。単価情報は,市場の変動や材質,支払条件等の検討によるコストダウンの役割を果たすものである。これに対して数量情報は,現場の技術系職員の努力によって変動する分野である。材料であれば無駄な材料を使用していないか,ミスにより過大な材料の消費はないか,作業員の無駄な待ち時間が生じていないか,段取りや前後工程の不具合で無駄な施工時間の延長で,機材のレンタル料の過大負担がなかったか等,数量情報は現場の責任者の責任分野である。単価と数量乗じた金額は,最終的な採算情報としての価値があり,経営者や上級管理者が必要な情報となるのである。

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