332.企業利益と賃金の増加は利害が反さない
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/12/3(水) 19:44:02  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 専門技術者養成講座のアンケートに「役所(公共工事の発注者)からコストを下げる要求で、業者は人件費を下げることになり、働くものは生活できなくなるし、今後は品質の良いものもできなくなるのではないか。」という意見があった。この意見は,働く者の心情がよく伝わってくるようで、不景気なムードが漂う中で非常に寂しさを感ずる意見である。この意見には二つの視点がある。コストを下げる要求は、人件費の削減要求になって現れることは確かであるが、この専門技術者養成講座の趣旨は、人件費削減をするための研修ではなく、その逆で作業効率を上げて無駄な経費を削減し、人件費を十分に払える状況にするため、新しい視点で工事管理をしなければならないための研修である。つまり過去型の工事管理では、建材店や下請叩きでコストを下げ、作業員にも人件費たたきという古い考え方ではなく、前向きな利益を上げて賃金を少しでも多く払えるようにすることが研修の狙いである。

1.人件費に時間コストの思想が必要
 賃金の計算は、賃率に作業時間を乗じて計算する。つまり1日当りの賃金を10,000円として、これを8,000円にすることは、2,000円の人件費たたきとなる。ある現場で25日を8,000円で働いたとすれば、合計200,000円となるが、この仕事量を16日間で施工すれば、1日12,000円の賃金でも192,000円となり、この現場の人件費は8,000円のコスト削減ができる。作業員は9日間の余裕は次の現場で働くことができるため、作業員の賃金も増加するし、企業としての利益も増加する。

2.時間コストは重複する
 各種の時間コストは、重複して発生するものである。そのため施工の効率化はコスト削減に大きく貢献する。上記の工事の効率化で9日間の工期短縮は、重機材のレンタル料や共通仮設材等のレンタル料が、連動して9日分削減されるため、施工の効率化の行動は、企業利益の拡大と作業員の収入の増加が共に一致するため、利害は反さないのである。企業が儲けるために作業員の賃金をたたくという思想は、古い考えで近代工事管理の視点では間違った思想である。

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