334.工期短縮の努力と発注者の対応
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 08/12/17(水) 22:32:43  返信も含め全削除

<アンケートの意見に>
 専門技術者養成講座のアンケートに「工事が完成しても,公共工事の発注者が契約上の納期が残っていることを理由に,契約納期まで完了届けを引き伸ばされる。」という意見があった。この意見は、10月29日版のNo.327「工事が完成しても検定をしてくれない」という意見と同じである。このような完了届けに関する発注者に対する意見は、あまりにも多いため再度掲載することにした。

1.発注者の言い分と問題点
 建設業者が一生懸命に施工効率を上げて早期に工事を完成しても、発注者が工事を速やかに引き取ってくれないという意見は多く寄せられている。発注者としては早期に工事が完成しても、契約上の納期が未到来であるという理由で、契約納期まで引き伸ばしてもよいではないかという理由らしい。しかしこれでは施工業者の努力が無駄になるし、工事原価は施工期間に比例して発生する費用が多い。重機や仮設材のレンタル料は、典型的な比例費増加の例である。このレンタル料について施工効率を上げて、コストダウンを計ることは施工業者の力量を発揮するところである。更に、工事が完成しても、当該工事が未完成のままにされると、技術者の給与負担もコストに加算されるし、この技術者は新規工事の入札に参加させることも出来ない。これでは企業が二重三重の負担になってしまう。この点について発注者の幹部は承知しており、末端の監督員までに徹底していないのかもしれない。この重要な情報は徹底されることが望まれる。

2.工期短縮によるレンタル料を返還せよ
 発注者の意見の中に、工期が短縮すれば仮設材等のレンタル料が掛からない部分が発生する。この工期短縮により軽減されたレンタル料は返還すべきであると言う意見がある。筆者も発注者の発言を直接聞いたことがあるが、この意見には基本的な部分で大きな間違いがある。問題点は入札制度を無視していることである。競争入札は、企業努力によって効率を上げて予定価額を下げて入札に参加するのである。この企業努力を無視して返還せよと言うならば、契約上の納期どおりに完成させた場合は、予定金額と落札金額の差額は、レンタル料として施工業者に払わなければならない理屈になるではないか。

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