360.本社の管理手法と現場の管理道具
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/9/16(水) 10:19:20  返信も含め全削除

1.本社の予算管理思想と現場の目標
 本社の重要な役割として、企業全体の経営管理を適切に行われなければならない。その経営管理の中で特に重要な管理が予算管理である。そのため企業は全社的に各部の必要な予算枠を設定し、適切な予算管理の運営を心がけている。したがって、現場に対しても予算管理の手法を強く要求するのである。この予算管理手法として現場に強く要請されるものが実行予算制度である。しかし本社が想定する予算管理の思いと現場が必要とする予算管理の機能にはズレがある。本社としては、本社経費といわれる管理費の年間発生額を、現場で得られる工事利益によって賄うため、一定の工事利益を確保することを要求する。それでなければ建設業の経営が成り立たないからである。その意味で予算管理手法は経営の根幹となる道具であり、この重要性については認識しなければならない。この実行予算は策定の時点においては、多少は現場において予算額に不満があったとしても、目的や目標はとりあえず一致している。

2.日々の適切な管理情報は工程表に現れる
 実行予算制度は、実行予算額が確定した段階で、予算書が命令書に変貌する。しかし実行予算という命令書に変わったとしても、命令書自体にコスト縮減の機能があるわけではない。如何に強烈な命令書であっても、予算通りに実際原価が発生してはくれない。実際原価とは施工行動の結果として金額表示で具現しただけである。したがって実際原価は、金額による誘導でコントロールするのではなく、施工行動をコントロールした結果として金額が確定するのである。予算がないから施工行動を中止するという問題ではない。つまり予算額で誘導できないのが施工行動である。施工行動が実際原価となって現れるのである。それでは実際原価を変えるには、工法に変えるか、施工資源を代えることか、施工資源数を変更させるか、並行作業や前後工程を変更させるか等、日々の作業行動の適正に統制することが、実際原価の変化になって現れるのである。この工法や資源の変化等を日々最適に表示する道具がネットワーク工程表の役割である。つまり予算額で誘導するのではなく、日々の適切な施工行動をPC上のネットワーク工程表で統制することが重要である。

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