362.実行予算に関する勘違いが解けない要因
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/9/30(水) 19:44:26  返信も含め全削除

1.信頼性の高い予定価額の計算
 予定価額の算定の基礎となる直接工事費の計算手法は、工種をできるだけ細分化し、細分化した工種ごとの単価を実態調査によって平均単価を算定し、この単価に工事量を乗じて工種別の原価を計算する。この工種別原価を集計すれば予定金額の直接工事費が算出される。この工事量積算手法は、実態調査による実際平均単価を用いており、工事量は実態調査による適切な数量を確認したものであるから、単価及び数量ともに信頼できるデータにより積算されたものであり、予定金額の計算は極めて信頼度の高いデータである。

2.実行予算の計算の信頼度
 実行予算の計算手法も、予定価額の積算手法と全く同じ方法が用いられている。細分化した工種ごとに過去の実績単価や現状を加味した実態単価を設定し、この単価に信頼度の高い工事量を乗じて工種別の原価を計算し、全ての工種原価を集計すれば信頼度の高い実行予算が算出される。つまり予定価額の計算と実行予算の計算手法は、全く同一の計算手法を用いており両者はいずれも信頼できるデータであることは間違いない。

3.実行予算の勘違い
 予定価額と実行予算は同じ積算手法によって計算し、それぞれ信頼度の高い金額が設定されるが、問題は、算定の目的や狙いは全く違うものであることを注意しなければならない。予定価額は発注者が入札時の目安とする金額であるのに対し、実行予算は原価管理が目的であり、できればコスト縮減の誘導機能が強く要求されるのである。しかし、実行予算は施工によって発生する実際原価を予測することは可能であるが、積極的にコスト縮減を誘導する機能はないのである。この点を経営者や現場代理人が勘違いをしているのである。特に経営者は、現場に対して厳しい実行予算を指示すれば、コスト縮減の誘導ができると勘違いしている。実行予算制度は、実際原価の発生額を予測するには機能するが、コスト縮減の誘導機能はないことを留意すべきであり、実行予算の機能を勘違いしてはいけないのである。コスト縮減の道具は別にあるのである。

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