363.実行予算の手法とその見直し
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/10/7(水) 19:33:06  返信も含め全削除

1.大手ゼネコンの実行予算
 大手ゼネコンは、受注した工事を専門工事に分解し、専門工事ごとに予定金額を策定しなければならない。この予定金額が実行予算である。大手ゼネコンの実行予算策定の考え方は、発注者の予定価額の策定の立場と非常に類似しているため、ほとんど同一の手法によって計算されている。ただ発注者の予定価額算定の目的は、当該工事の実際発生原価をできるだけ正確に予測することが目的であるのに対し、実行予算はできるだけより良い利益を上げるための目標原価を計画することが目的となるのである。したがって計算手法は同じであっても、目的の違いが金額の多寡となって現れるのである。そのため発注者が策定する予定価額よりは、実行予算の方が厳しい金額が通常要求されている。

2.大手ゼネコンの原価管理
 実行予算は、専門工事業に発注する予定金額を策定することが第1の目的となるが、同時に原価管理としてのコスト縮減を意識するため、より低い金額を目標として計画する結果となる。そのため低い金額の要求を強く受けるため、いわゆる下請叩きという現象になって現れる。元請としては入札環境が厳しい時代になれば、低価格落札を余儀なくされるため、下請も同じように泣いてくれということが大儀名分となるのである。まことにお粗末な論法であるが一般化した風景である。問題はこのようなゼネコンの思いが、実行予算による原価管理の手法であると誤解されている点である。予算管理上低い金額を指示することは仕方がないとしても、実行予算方式ではなく、本物の原価縮減技術を身に付けることである。

3.専門工事業者が救われるとき
 ゼネコンの現場代理人や技術者の工程管理によって、下請業者の実際発生原価は大きく変動する。下請業者は、ゼネコンの現場代理人等の工程管理に振り回されることが多く、下請業者の損益の多寡は、現場代理人等の考え方やその手法の影響を受ける。下請業者の損益の変動は下請業者の責任の部分もあるが、ゼネコンの不適切な工程管理の影響を受けることが多い。下請業者にとって低価額の受注であっても利益が確保できれば問題はない。その意味で大手ゼネコンの現場代理人等は、適切な工程管理によって下請の利益確保ができる能力が問われる時代になったのである。

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