371.政権交代による入札環境の変化  
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 09/12/2(水) 16:51:55  返信も含め全削除

1.急激な工事量減少の影響
 前に述べたように政権交代によるコンクリートから人への転換は、経済規模の観点からすれば、GDPの構成比を変えるだけであるから、基本的にはGDP自体の大きさには大きな変化はない。しかし公共工事を担当する建設業界にとっては、工事量の減少となって現れるため、企業経営には大きな影響を受けることになる。これは政権交代による施策変更の問題であり、ある意味では仕方がないのである。問題は、施工業者がこの政治的大転換についていけるかどうかが問題であり、施工業者が大きな経営環境変化に順応できるかが問題である。仮に施工業者数が一定であるとすれば、激烈な争いになることは間違いなく、窮地に追い込まれることは目に見えている。

2.価格競争の結末
 工事量の激減は、当然、価格競争になって現れるから、限度を越えた競争になることは間違いない。発注者としても品質を確保できるかが心配の種である。本来一般競争入札は、既製品市場を前提にして機能する市場システムであり、既製品であれば品質と原価が確定しているため過度な競争にも耐えられるが、生産前に過度の競争原理が作用する注文生産市場においては無理である。既製品市場では原価が確定しているため、過度な競争には必然的にブレーキが掛かる。仮に原価を割る価格で売買が成立したとしても、品質が確定しているため客側には迷惑が掛らない。つまり一般競争入札は、既製品市場のルールなのである。これを単純に注文生産市場に導入したことは間違いである。そのため発注者は低価格入札が頻発すれば、品質が心配になり最低入札価格を設けざるを得ないことになるである。

3.最低入札価格に集中する
 低入札が頻発すれば、全発注者は最低入札価格を決めざるを得ないことになる。結果的に最低入札価格に札が集中することになり、抽選により落札者を決めざるを得なくなるのである。抽選入札は公平性の観点から当然であるが、公平であるからといっても決して褒められる入札制度ではない。何故なら、公平という名の下に競争原理を後退させ、抽選による博打的な入札制度になるからであり、褒められるような入札制度ではない。抽選入札が増えれば、企業経営は偶然性が作用する宝くじ経営を強いられることになるのである。これでは日本の市場経済は、末期症状と言わざるを得ないのである。

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