379.工程管理が誤解のまま放置されている
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/1/29(金) 21:50:39  返信も含め全削除

1.工程管理は何のための道具か
 工事の完成時を予測する道具として工程表が用いられる。工事を完成させて発注者へ引き渡す時期を推測することは重要であるから、バーチャートやネットワーク工程表に描かれて利用される。これは発注者に対する納期を守るための管理が目的であり、これにはネットワーク工程表が優れた道具となる。発注者に対して納期が契約されているため、施工業者は工事の完成時期を終始注意深く管理しなければならない。つまり発注者に対する能期を守るための管理が工程管理の目的である。この納期管理に最も有効に作用する道具がネットワーク工程表である。このネットワーク工程表は、米国で開発され日本でも普及したものであるが、開発当初の目的が納期管理であったため、ネットワーク工程表が工程管理の道具のみ機能すると考えられていた。しかしその後、工程管理が原価の変動に深く関連していることが分かり、今日ではネットワーク工程表が原価管理に用いられるようになった。しかし、当初の普及段階において納期管理のみが印象付けられたため、未だに現場代理人や本社の技術管理者が、原価管理の有効性を認識していないのが現状である。
        
2.なぜ、ネットワーク工程表が原価縮減に有効か        
 前にも述べたように、近年の施工手法による特色は、総原価に占める時間比例費の割合が大きくなったためである。機械施工においても、従来型の買取方式からレンタルによる調達が一般化し、重機や仮設材等多くの資材を自社所有することが少なくなったのである。そのため全ての資材のレンタル料や労務賃金等、時間の経過によって費用が多額に発生する時代になったのである。したがって、原価の管理手法が、予算管理手法に馴染まなくなり、代わって工程表による時間管理が有効に作用することが分かってきたのである。中でも各種の工事を並行施工することによる工期の短縮は、共通仮設材のレンタル料を大幅に削減する結果となり、並行作業の有効な組合せによる工期縮減は、ネットワーク工程表を用いることで、効率よい工程計画を策定することが出来るようになったのである。現場技術者は、数十年前のネットワーク工程表が納期のみを意識した時代から、新しい原価管理機能を付加した機能のネットワーク工程表を認識すべきである。

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