392.情緒的な実行予算に振り回されている
新規投稿者 阿座上洋吉  投稿日 10/6/23(水) 19:10:48  返信も含め全削除

1.現場経営の近代化が難しい
 江戸時代から今日まで続いてきた良き文化が多々あるが、改善しなければならない文化は数多く見られる。中でも現場における経営文化は最も改善すべきものである。現場技術者は、施工技術について優れたものが開発されれば、素早く取り込むことは容易にするが、経営管理についての改善は苦手で、中々改善が進まない。これでは施工技術がいかに優れていても経営管理が未熟なため、現場責任者として適切な役目を果たすことはできない。技術者にとって経営管理は、専門外であって十分な知識がないためである。そのため経営管理の専門的な教育を受ける必要があるのである。

2.科学的現場経営ができない理由
 現場の経営管理にも色々あるが、特に現場のコスト管理が未熟で遅れている。その理由は、原価管理が実行予算によって行われている点にあり、実行予算によって計画通りの工事利益が上がるものと勘違いしているためである。日本の建設業界の関係者は、実行予算によってコスト縮減の誘導が可能であると勘違いしている。そのため、工事の完了後に実際原価が予算オーバーすれば、現場は一つとして同じ現場はないのであるから、現場ごとに原価が違うことは当り前で、実行予算どおりに行かないのは仕方がないと諦めるのである。更に建設現場は野外であり自然界の影響を受けるため、当初の実行予算どおりにコストを誘導はできないと主張する。

3.実行予算になぜ頼るのか
 実際に発生する原価が実行予算どおりに施工できないと主張しながら、なぜ実行予算に頼るのであろうか。これが建設業界の七不思議のひとつである。実行予算どおりに行かない理由を徹底的に研究しながら、一方で実行予算を利用するのは矛盾しているのである。これは実行予算以内で施工できれば満足し、実行予算を超えると、実行予算は使い物にならない理由を持ち出し言い訳する。つまり実行予算には科学的根拠がなく、人間の情緒的な側面が強くあらわれる制度であり、近代工事管理にはほど遠い制度であることを認識すべきである。

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